コラム

中堅・中小企業M&Aにおける代表的な2つの評価手法について

中小企業のM&Aにおいて、「時価純資産法」と「EBITDAマルチプル法」は、企業の価値を評価する2つの異なるアプローチです。
本コラムでは、それぞれの違いを分かりやすく整理します。


  1. 時価純資産法(Adjusted Book Value Method)
    ・概要
    企業が保有する資産(不動産、設備、在庫など)を時価に再評価し、負債を差し引いて企業価値を算定する方法。
    ・特徴
    ■資産の価値が明確:土地や設備などの資産が多い企業(製造業・不動産業など)に向いている。
    ■ 赤字企業でも評価可能:収益が出ていない企業でも、資産があれば価値がつく。
    ■ 収益性や将来の成長を反映しにくい:利益を生まない資産が多くても評価額が高くなる可能性がある。

  2. EBITDAマルチプル法
    概要
    企業の収益力(EBITDA:利払い・税引き・減価償却前利益)に、業界ごとのマルチプル(倍率)を掛けて企業価値を算定する方法。
    ・特徴
    ■ 収益力を反映できる:将来のキャッシュフローを基に評価できるため、成長企業に適している。
    ■ M&A市場で一般的:特にサービス業やIT企業など、資産よりも収益力が重要な業界で多く使われる。
    ■ 利益が不安定な企業には不向き:業績が大きく変動する企業や赤字企業には適用しにくい。


  3. 時価純資産法 vs EBITDAマルチプル法の違い


結論

  • 資産価値が大きな企業(不動産を多く保有する企業や製造業)→ 時価純資産法が適している
  • 収益力が強く、成長が期待される企業(サービス業やIT企業)→ EBITDAマルチプル法が適している
  • 実務では両方の手法を併用し、総合的に評価することが多い
M&Aの目的や企業の特性に応じて、適切な評価手法を選択することが重要です。

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