事業承継

従業員承継のデメリット10選|後継者も会社も守るための課題と解決策

従業員承継には資金調達の課題や経営スキルの不足、関係者との調整の難しさなど、特有のリスクやデメリットが存在します。承継後の経営がうまくいかず、せっかく引き継いだ事業が傾いてしまう事例も少なくありません。本記事では、従業員承継に潜む代表的なデメリットを整理し、その背景や回避策もあわせて解説します。

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従業員承継とは

従業員承継とは、会社の経営権を親族以外の役員や従業員に引き継ぐ事業承継の手法です。社内承継とも呼ばれ、後継者不在に悩む多くの中小企業にとって有力な選択肢の一つとなっています。

特に経営陣が自社の株式を買い取って経営権を引き継ぐ手法はMBO(マネジメント・バイアウト)、一般の従業員が引き継ぐ場合はEBO(エンプロイー・バイアウト)と呼ばれます。子供などの親族に引き継ぐ親族承継や、社外の第三者(他社)に会社を売却するM&Aとは異なり、社内の人材が後継者となる点が大きな特徴です。

承継方法 後継者 承継のしやすさ 企業文化の維持
従業員承継 社内の役員・従業員 候補者が多く見つけやすい しやすい
親族承継 経営者の子供・親族 候補者が限定される しやすい
M&A 社外の第三者・他社 買い手が見つかれば可能 変化する可能性が高い

事業承継型M&Aとは?メリット・デメリット・成功のポイントを解説

従業員承継の最新動向

近年、中小企業の経営者の高齢化と後継者不足が深刻化しており、従業員承継を選択する企業が増加傾向にあります。これは、従来の親族内承継が減少していることが背景です。特に子供が家業を継がないケースが増加しており、従業員の中から後継者を見出す動きが活発化している点が注目されます。

この流れを受け、国や金融機関も従業員承継を積極的に後押しするため、支援策を拡充しています。具体的には、後継者となる従業員の株式買取資金に対する融資制度や、事業承継時に発生する税負担を軽減する事業承継税制などが代表的です。これらの制度は、従業員承継をより現実的な選択肢とするために重要な役割を果たしています。

制度整備に加え、専門家による相談窓口の設置や従業員承継に関する成功事例の共有なども進んでおり、従業員承継のハードルは以前よりも大幅に下がってきている状況です。今後は従業員のモチベーション向上や、企業文化の維持といった、承継後の課題に対する取り組みも重要になるでしょう。

従業員承継は、単なる事業承継の手段としてだけでなく、従業員のキャリアパスの多様化や企業全体の活性化にもつながる可能性を秘めています。従業員承継を成功させるためには、経営者と従業員間の信頼関係の構築、透明性の高い情報共有、十分な準備期間が不可欠です。

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従業員承継のデメリット10選

従業員承継は魅力的な手法である一方で、重大なデメリットや課題も存在します。

従業員承継のデメリットを軽視すると、承継プロセスが頓挫するだけでなく、会社の存続自体が危うくなる可能性も否定できません。多くの経営者が直面するデメリットは、以下の10個です。

  1. 後継者の株式買取資金の調達が極めて困難
  2. 経営者の個人保証の引き継ぎという高い壁
  3. 優秀な従業員が優れた経営者であるとは限らない
  4. 思わぬ税務リスクが後継者の負担となる可能性(贈与税・低廉譲渡)
  5. 現経営者の親族から猛反対される可能性
  6. 所有と経営の分離による内紛リスク
  7. 他の従業員のモチベーション低下や有力社員の離職
  8. M&Aのような外部シナジー効果は期待できない
  9. 後継者の育成に想定以上の時間とコストがかかる
  10. 不採算事業など負の遺産も引き継がざるを得ない

各デメリットを詳しく解説します。

デメリット1.後継者の株式買取資金の調達が極めて困難

従業員承継における大きな障壁の一つは、後継者となる従業員の資金力です。会社の株式を現経営者から買い取るためには、数千万円以上、ときには億単位の巨額な資金が求められます。

一個人が多額の資金を自己資金で用意するのは、現実的にほぼ不可能です。金融機関からの融資に頼る場合も個人の信用力だけでは限界があり、多くは会社の資産や将来の収益を担保に入れる必要があります。

デメリット2.経営者の個人保証の引き継ぎという高い壁

中小企業の多くが金融機関からの借入に際して経営者個人が連帯保証をしている現状があり、事業承継における深刻な問題を引き起こしています。特に従業員承継においては、個人保証の存在が大きな障壁となっています。

金融機関は後継者となる従業員の資産や信用力を厳しく審査し、前経営者と同等と認められない場合は安易に保証の付け替えを認めません。結果として、現経営者は引退後も個人保証のリスクを抱え続け、安心してリタイアするのが難しくなる事態が生じます。

個人保証問題は、中小企業の事業承継を阻害する大きな要因であるため、国や関係機関による支援策の拡充とともに、経営者自身が早期から対策を講じることが重要です。従業員承継を成功させるためには、後継者の育成だけでなく、個人保証問題の解決に向けた積極的な取り組みが不可欠と言えます。

デメリット3.優秀な従業員が優れた経営者であるとは限らない

現場のプレーヤーとして優秀な従業員が、必ずしも優れた経営者になれるわけではありません。日々の業務を遂行する能力と、会社全体の舵取りを行う経営者に求められる能力はまったくの別物です。

経営者には、事業全体を俯瞰する戦略的視点、財務や法務の知識、リスクを恐れない決断力、未来を創造する展望が不可欠です。資質が後継者に備わっていなければ、安易な内部昇格は承継後の経営を不安定にし、事業を停滞させるリスクを孕みます。

具体的に、経営者には以下のような能力が求められます。

  • 戦略的思考力: 業界の動向、競合の状況、自社の強み・弱みを分析し、長期的な成長戦略を描く力
  • 財務管理能力: 損益計算書、貸借対照表などの財務諸表を理解し、資金調達や投資判断を適切に行う力
  • 組織運営能力: 人材の採用・育成、チームの構築、モチベーションの維持など、組織を効果的に機能させる力
  • コミュニケーション能力: 社内外の関係者と円滑なコミュニケーションを図り、信頼関係を築く力
  • リーダーシップ: 困難な状況でもチームをまとめ、目標達成に向けて牽引する力

単に現場で優秀なだけでなく、上記の能力を兼ね備えた人材を育成・登用していくことが、事業承継を成功させるための重要な鍵を握ります。

デメリット4.思わぬ税務リスクが後継者の負担となる可能性(贈与税・低廉譲渡)

後継者の資金負担を軽くしようといった善意から、市場価格よりも著しく低い価格で株式を譲渡してしまうケースがあります。しかし、税務上は低廉譲渡とみなされ、市場価格との差額分が贈与と判断されます。

結果として、後継者には想定外の高額な贈与税が課されることになり、かえって資金繰りを悪化させる事態を招きかねません。税務に関する知識不足が、思わぬ落とし穴となるのです。

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デメリット5.現経営者の親族から反対される可能性

長年、同族経営を続けてきた会社の場合、「会社は家のものである」といった意識が親族内に根強く残っていることがあります。そのため、血縁関係のない従業員に会社を譲ることに対して、現経営者の親族から感情的な反発を受ける可能性があります。

親族からの反対は承継プロセスを複雑化させるだけでなく、社内外の人間関係に深刻な亀裂を生じさせ、円満な承継を妨げる要因となりかねません。特に後継者候補が親族以外の場合、反対されるリスクはより大きくなる傾向があります。

デメリット6.所有と経営の分離による内紛リスク

後継者の資金問題を回避するため、現経営者が株主として会社の所有権を持ち続け、従業員には経営権のみを譲渡する方法があります。一見すると名案に思えますが、これは深刻な内紛の火種となり得ます。

なぜなら、短期的な利益(配当など)を求める株主(旧経営者)と、長期的な視点で設備投資や人材育成を行いたい新経営者との間で、経営方針を巡る対立が生まれやすいからです。対立は会社の意思決定を停滞させ、事業運営に致命的な支障をきたす危険性があります。

デメリット7.他の従業員のモチベーション低下や有力社員の離職

後継者に選ばれた従業員がいる一方で、選ばれなかった同僚たちもいます。人選の理由が不透明であったり、新経営者のリーダーシップに疑問符がついたりすると、社内には不満や嫉妬が渦巻きかねません。

こうした状況は、組織全体のモチベーションを著しく低下させます。最悪の場合、将来を担うはずだった優秀な人材が「この会社に未来はない」と見切りをつけ、次々と離職していくリスクも想定されます。

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デメリット8.M&Aのような外部シナジー効果は期待できない

M&Aによる第三者承継の大きなメリットは、買い手企業が持つ新しい技術やノウハウ、販売チャネルといった経営資源を取り込むことによるシナジー効果です。シナジー効果によって、事業の飛躍的な成長が期待できます。

しかし、社内の従業員が後を継ぐ従業員承継では、こうした外部からの新しい風は期待できません。既存の事業やビジネスモデルの延長線上での経営となり、現状維持に留まることで変化の激しい市場環境から取り残され、緩やかに衰退していく可能性があります。

デメリット9.後継者の育成に想定以上の時間とコストがかかる

一人の従業員を経営者に育てる道のりは、決して平坦ではありません。財務諸表の読み方や資金繰り、法務、人事労務、マーケティング戦略など、習得すべき知識は多岐にわたります。

スキルを身につけさせるには、長期にわたる計画的な育成プログラムと、外部研修などにかかる多額の費用が必要です。多くの中小企業にとって、時間的・金銭的コストは重い負担となります。

デメリット10.不採算事業など負の遺産も引き継がざるを得ない

従業員承継は、基本的に会社を丸ごと引き継ぐことを意味します。成長している事業だけでなく、不採算部門や老朽化した設備、生産性の低い組織体制、問題のある人材といった負の遺産もすべて引き継がなければなりません。

M&Aの手法の一つである事業譲渡のように、優良な事業のみを選んだ承継はできません。負の遺産が承継後の新経営者の足枷となり、大胆な経営改革を阻む要因となる可能性があります。

従業員承継のメリット5選

多くの経営者が従業員承継を検討する背景には、見過ごせない大きなメリットが存在します。本章では、従業員承継が持つ5つの主なメリットを確認しておきましょう。

  1. 後継者候補の選択肢が広く、適任者を見つけやすい
  2. 企業文化や経営理念を円滑に引き継げる
  3. 他の従業員や取引先から理解を得やすい
  4. 後継者の育成に十分な時間をかけられる
  5. M&Aと比べて会社の独立性を維持できる

各メリットを順番に詳しく解説します。

1.後継者候補の選択肢が広く、適任者を見つけやすい

親族承継の場合、後継者候補はごく限られた人数に絞られます。しかし、従業員承継であれば社内の役員や従業員全体が候補者となるため、選択肢の幅が大きく広がります。

長年にわたり会社に貢献し、経営者としての意欲や素質を持つ人材を血縁にとらわれず見つけ出せるのです。結果として、会社を託すにふさわしい適任者を選べる可能性が高まります。

2.企業文化や経営理念を円滑に引き継げる

後継者となる従業員は長年同じ会社で働き、事業内容はもちろん経営理念や独自の社風、価値観を深く理解しているものです。経営者が交代しても、長年培ってきた企業文化が損なわれるリスクが低いと言えます。

承継後も経営方針に一貫性が保たれやすく、事業運営が安定しやすい点は大きなメリットとされています。

3.他の従業員や取引先から理解を得やすい

まったくの第三者が後継者となるM&Aとは異なり、社内の人間がトップに就くことは、他の従業員にとって心理的な抵抗が少ない傾向にあります。「あの人が社長になるなら」と納得感を持って受け入れられやすく、社内の混乱を抑えられるのです。

また、主要な取引先や金融機関にとっても、顔なじみの人物が後継者となることで、安心して取引関係を継続しやすい点にメリットがあります。

4.後継者の育成に十分な時間をかけられる

従業員承継は、5年〜10年といった長期的な視点で準備を進められます。早い段階で後継者候補を選び、現経営者のもとで業務経験を積ませながら、計画的に経営ノウハウやリーダーシップを学ばせられるのです。

十分な育成期間により、経営スキルの継承がスムーズに行われ、円滑なバトンタッチが実現しやすくなります。

5.M&Aと比べて会社の独立性を維持できる

M&Aによって会社を第三者に売却した場合、買い手企業の経営方針に従う必要があり、経営の自由度が失われる可能性があります。一方で、従業員承継は社内の人材が経営を引き継ぐため、外部の資本が入ることがありません。

結果的にこれまで通りの経営方針や組織体制を維持しやすく、会社の独立性を保てます。

従業員承継のデメリットを乗り越え成功させるコツ

従業員承継には多くの困難が伴います。しかし、課題は適切な準備と対策を講じることで乗り越えられます。

本章では、承継を成功に導くための4つの重要なポイントを解説します。

5年〜10年単位での早期の計画策定と後継者教育

従業員承継の成否は、準備期間の長さに大きく左右されます。経営者が引退を意識し始めてから慌てて準備するのでは、到底間に合いません。

理想は5年〜10年の長いスパンで計画を立て、後継者候補の選定と育成にじっくりと時間をかけることです。早期に着手することで、あらゆるリスクに備えられ、万全の体制で承継の日を迎えられます。

後継者の資金調達支援と公的制度の活用

大きな課題である資金問題に対しては後継者任せにせず、会社として積極的に支援する必要があります。具体的には、以下のような公的制度の活用を検討しましょう。

制度・支援策 概要
日本政策金融公庫などの融資 事業承継を目的とした低利の融資制度があり、後継者の株式買取資金として活用できます。
経営者保証に関するガイドライン 一定の要件を満たせば、経営者の個人保証なしで融資を受けられる可能性があります。
事業承継税制(納税猶予・免除制度) 後継者が承継した株式にかかる贈与税や相続税の納税が、実質的に免除される可能性がある画期的な制度です。

上記の制度をうまく活用すれば、後継者の金銭的な負担を大幅に軽減できます。

複雑な手続きは専門家を味方につける

事業承継には、株価算定や税務、法務といった高度な専門知識が不可欠です。複雑な手続きを経営者や後継者だけで進めるのは危険であり、思わぬトラブルを招く原因となりかねません。

早い段階から事業承継に詳しい税理士や公認会計士、M&Aアドバイザーといった外部の専門家に相談しましょう。彼らは豊富な知識と経験に基づき、最適な承継プランの策定から実行まで力強い味方となってくれます。

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他の従業員や関係者への丁寧な説明と合意形成

従業員承継は、経営者と後継者だけの問題ではありません。他の従業員や取引先、金融機関、親族といったすべてのステークホルダーの理解と協力があって初めて円滑に進みます。

特に他の従業員に対しては、後継者の選定理由や今後の経営方針、処遇などを丁寧に説明し、不安を取り除く努力が不可欠です。プロセスを透明化し、誠実な対話を重ねることが、承継後の組織の一体感を醸成し、新体制の成功につながります。

従業員承継の手法

従業員承継を実現するには、主に3つの方法があります。選択する方法によって、後継者の資金負担や税金、経営への関与の仕方が大きく変わるため、慎重な検討が必要です。

経営権の譲渡

現経営者が株式を保有したまま株主として残り、代表取締役の座だけを後継者に譲り、経営を任せる方法です。後継者の資金負担はありませんが、会社の所有者(株主)と経営者が異なり、所有と経営の分離の状態が生じます。

結果的に、経営方針を巡って新旧経営者が対立し、経営が混乱するリスクを常に抱えてしまいます。

株式の贈与・遺贈

後継者に株式を無償で譲る方法で、生前に行うのが贈与、遺言によって行うのが遺贈です。後継者の資金負担はありませんが、代わりに高額な贈与税や相続税が課される可能性があります。

特に贈与税は税率が高いため、納税資金の準備が新たな問題となる場合があります。

株式譲渡・売却

一般的で透明性の高い方法が、現経営者が保有する会社の株式を後継者となる従業員に有償で売却(譲渡)する方法です。

適正な価格で売買が行われるため、税務上の問題は起こりにくいですが、前述の通り、後継者には巨額の買取資金が求められます。資金調達が大きな課題です。

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従業員承継の手順・流れ

従業員承継を成功させるためには、場当たり的な対応ではなく、計画的かつ段階的にプロセスを進めることが重要です。本章では、一般的な従業員承継の基本的な流れを6つのステップで解説します。

  1. 会社の現状分析と課題の洗い出し
  2. 後継者候補の選定と育成
  3. 後継者本人への意思確認
  4. 事業承継計画書の策定
  5. 関係者(社内外)への周知
  6. 承継の実行(株式譲渡・代表者変更)

1.会社の現状分析

最初に行うべきは、自社の経営状況を客観的に把握することです。財務状況、事業の強み・弱み、組織体制などを見える化し、事業承継における課題を洗い出します。

本ステップでは、会社の本当の価値や潜在的なリスクを明確にしておくことが重要です。

2.後継者候補の選定

洗い出した課題を乗り越え、会社を成長させることのできる人物は誰か、といった視点で後継者候補を選定するステップです。候補者が決まったら、現経営者と伴走しながら経営スキルを磨くための育成計画を策定し、実行に移します。

育成期間には数年単位の時間を要します。

3.本人の意思確認

育成を進め、後継者としての適性を見極めた段階で、本人に事業承継の意思を正式に打診します。会社の未来を託す重責や、個人保証などのリスクを十分に説明し、本人の固い覚悟を確認しましょう。

本ステップで合意に至らなければ、計画は振り出しに戻ります。

4.承継計画の策定

後継者の合意が得られたら、具体的な承継スケジュールや株式の譲渡方法、株価、資金調達計画などを盛り込んだ事業承継計画書を作成します。計画書は後のプロセス全体のロードマップとなり、関係者間の認識を統一するための重要な文書です。

5.社内外への周知

策定した計画に基づき、他の従業員や取引先、金融機関といった関係者に後継者を正式に紹介し、事業承継について説明を行います。特に他の従業員に対しては、後継者の選定理由や今後の経営方針を丁寧に伝え、理解と協力を得ることが、承継後の円滑な経営につながります。

6.承継の実行

計画書に沿って、株式譲渡契約の締結や株主総会での承認、代表取締役の変更登記など法的な手続きを実行します。贈与や譲渡に伴う税金の申告・納税も本ステップで行うのが一般的です。

すべての手続きが完了した時点で、法的に事業承継が成立します。

M&Aの流れを完全解説|検討から統合までの全プロセスと成功のポイント

従業員承継のデメリット回避は信頼できるプロへの相談から

従業員承継は、会社の文化を守りながら事業を継続できる大きなメリットがある一方で、後継者の資金調達、個人保証、税務問題、人間関係の悪化など、数多くの深刻なデメリットと課題を抱えています。リスクを事前に把握し、適切な対策を講じなければ、円満な承継は実現できません。

成功の鍵は、早期の計画着手、公的制度の活用、信頼できる専門家のサポートを得ることです。もし従業員承継を少しでも検討しているのであれば、まずは事業承継に精通したM&Aアドバイザーや税理士への相談から始めてみましょう。

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澤口 良太
監修者

社外取締役(財務)・公認会計士・税理士 澤口 良太

北海道札幌市出身。2003年の学校卒業後、税理士事務所で勤務しながら税理士・公認会計士の資格を取得。KPMGあずさ監査法人を経て、TOMAコンサルタンツや辻・本郷ビジネスコンサルティングでファイナンシャルアドバイザリーサービス(FAS)の責任者を歴任。2020年、独立。澤口公認会計士事務所にて経営やM&Aアドバイザリーを展開している。上場・非上場を問わず企業のオーガニックソースやM&Aによる成長戦略、再生戦略の立案実行をハンズオンにて支援し、多数の実績を有する。2022年のM&Aフォース設立当初から、社外取締役として参画している。

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