業種別M&A

ホテル・旅館のM&Aとは?成功の秘訣・売却メリット・事例を解説

ホテル・旅館業界では、インバウンド需要の回復や旅行スタイルの多様化が進む一方、人手不足や後継者不在など深刻な課題も抱えています。

こうした中で注目を集めているのが「M&A」です。事業の承継や経営の立て直し、新たな成長戦略としてM&Aを活用するケースが増えており、実際に業界内外からの参入事例も拡大中です。

この記事では、ホテル・旅館業界におけるM&Aの現状やメリット、成功事例、進め方までをわかりやすく解説します。これからM&Aを検討したい方や情報収集を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。

ホテル・旅館業界の現状とM&Aが注目される背景

現在、ホテル・旅館業界ではM&Aが活発化し、特に中小・中堅のホテルや旅館が積極的にM&Aを行なっています。

ここでは、ホテル・旅館業界を取り巻く環境と、M&Aが注目される背景について解説します。

ホテル・旅館業界を取り巻く環境

ホテル・旅館業界を取り巻く環境は、近年、大きな変化の波にさらされています。

観光庁の宿泊旅行統計調査によれば、2024年4月における日本国内のホテル・旅館の総延べ宿泊者数は、前年の同月と比較して10.1%増の約5190万人泊となりました。

中でも、外国人宿泊者数の伸びは著しく、前年同月比で46.9%増加し、約1450万人泊に達しており、訪日観光客の増加が全体の需要を押し上げる要因となっています。

また、帝国データバンクの調査によると、2023年10月時点における旅館・ホテル市場の規模は3.4兆円で、2023年全体の市場規模は、前年度の1.5倍に相当する約4.9兆円まで拡大すると見込まれています。

旅館・ホテルの市場拡大が前年より大きく拡大した背景には、新型コロナの水際対策が緩和され、インバウンド需要や国内旅行需要が回復したことが挙げられます。

一方、業界では深刻な人手不足が課題となっており、宿泊予約や客室稼働率に制限をかけざるを得ない状況です。

帝国データバンクの調査によると、旅館・ホテル業界の人手不足の割合は正規・非正規ともに全体の6割を超えています

省人化対策として受付の自動化や、外国人材の登用などの対応が求められていますが、こうした対策が難しい事業者も多く、人手不足への対応が市場の成長を左右するポイントとなっています。

(情報参照元:帝国データバンク「旅館・ホテル業界」 動向調査(2023 年度)

ホテル・旅館業界におけるM&Aの最新動向

ホテル・旅館業界では、経営環境の変化に対応するため、M&Aが活発化しています。

ここでは、ホテル・旅館業界でのM&Aの最新動向について解説します。

業界再編を目的としたM&Aの活発化

ホテル・旅館業界では、コロナ禍の影響を受けた売り手企業の経営課題解決の為、2019年頃からM&Aが活発化しています。

また、インバウンド需要増で都市部のホテルが賑わう一方で、地方の温泉地や観光地では観光客の減少により経営が厳しくなり、事業売却を選択するケースも少なくありません。

M&Aで売却されるホテル・旅館の中には、温泉やプールなどの魅力的な設備を備えた施設も多くあります。こうした物件を大手ホテルチェーンなどが買収すれば、低価格での営業を継続でき、収益の回復・向上を目指すことが可能になります。

現在はインバウンド需要の回復を背景に、国内外のファンドや大手企業による買収・資金提供も増加しており、M&Aは経営の持続や成長を支える重要な手段となっています。

異業種からの参入による買収動向

買い手側から見ると、ホテル事業は土地・建物が不可欠であるため、魅力的な「不動産投資」の対象ともなります。

ホテル投資は経済状況の影響を受けるものの、2023年10月時点での期待利回りは5%前後となっており、条件次第では高い収益性が見込めます。

そのため、ホテルのM&Aでは、同業のホテル事業者だけでなく、投資ファンドや不動産賃貸業といった異業種参入も顕著です。

一時期、コロナ禍によるインバウンド需要の落ち込みで期待利回りが低下したものの、現在は官民連携によるインバウンド誘致策が進められ、宿泊施設不足解消への取り組みも行われています。

今後さらにインバウンド需要が回復すれば、ホテル・旅館の需要も増加が見込まれるため、買い手にとって魅力的な市場といえるでしょう。

人材不足解消のためのM&Aの増加

宿泊業や飲食サービス業では、先述の通り慢性的な人材不足が深刻な課題となっており、ホテル業界でも人材確保を目的として大企業・中堅事業者が中小事業者を買収するケースも見られます。

厚生労働省の「産業別の入職と離職」の調査によれば、2022年上半期の宿泊業・飲食サービス業における入職者は98万800人、離職者は79万2,000人と、いずれも全産業の中でもっとも多い結果となりました。

こうした背景から、雇用の安定や人材リソースの確保を狙い、大手ホテルチェーンなどがM&Aを通じて人材を抱える中小企業を取り込む動きが加速しています。

(情報参照元:国土交通省「 観光白書 令和5年版」)

ホテル・旅館業界でM&Aを行うメリット

ホテル・旅館業界におけるM&Aは、売り手と買い手の双方にとって、さまざまなメリットをもたらします。

ここでは、売り手側・買い手側の立場から得られる具体的なメリットについて解説します。

売り手(譲渡企業)側のメリット

メリット 詳細
後継者不在問題の解決 経営者の高齢化などにより後継者問題に悩む経営者が、M&Aによって、親族ではない第三者を後継者にでき、自社のホテル事業を譲渡できます。
従業員の雇用を継続できる 廃業すると従業員は解雇となりますが、M&Aによる売却では雇用を維持できます。売却先によっては、より安定した職場環境や待遇の改善も期待できます。
経営基盤の強化 資本力・ブランド力のある企業とM&Aすることで、経営基盤を強化できます。資金を得て、設備投資やWeb集客に注力すれば、収益・顧客増が期待できます。
創業者利益の獲得 長年培ってきた事業を譲渡することで、創業者は個人としてまとまった資金を得られます。セカンドライフの充実や新たな事業への挑戦につなげられます。

買い手(譲受企業)側のメリット

メリット 詳細
既存事業の拡大と新規市場への参入 ホテル運営のノウハウがない異業種でも、M&Aを通じて既存のホテル事業を取得すれば、即座に運営が可能です。また、事業規模の拡大により売上・利益や顧客数の増加も見込めます。
経営資源と優秀な人材の獲得 買収対象企業の持つノウハウ、技術、人材、ブランドなどを獲得することで、自社の経営資源を強化し、競争力を高められます。
経営戦略を短期実現できる 新規事業の立ち上げには時間とコストがかかりますが、M&Aを活用すれば既存の施設やノウハウを取得でき、低リスクかつ短期間で収益化が可能です。

ホテル・旅館業界のM&A事例紹介

ここでは、業界内での事業拡大や経営効率化、異業種からの新規参入など、さまざまな目的で行われたM&Aの事例を紹介します。

【業界内】アゴーラ・ホスピタリティー・グループ (9704)がプライム・ハイト・インベストメント・リミテッドを株式取得により子会社化

株式会社アゴーラ・ホスピタリティー・グループ(9704)は、プライム・ハイト・インベストメント・リミテッドの株式50.00%を取得し、子会社化するとともに、同社が匿名組合出資するホテル資産を取得しました。

これにより、アゴーラ・ホスピタリティー・グループは、運営する各ホテル資産に対する実質的な支配力を確保し、中長期的な安定収益基盤の構築を目指します。

本件は、業界内における資産保有と運営の一体化を進めるM&A事例として、経営効率の向上と企業価値の強化を意図した戦略的な動きといえます。

(情報参照元:日本M&Aセンター M&Aマガジン「アゴーラ・ホスピタリティー・グループ(9704)、200室規模のホテル運営の難波・ホテル・オペレーションズの全株式取得」)

 

【異業種参入】大阪の名門ホテル「リーガロイヤルホテル大阪」が土地・建物を外資系の投資会社に売却

株式会社ロイヤルホテル(9713)は、米国の不動産投資ファンド、ベントール・グリーンオーク・グループ(以下BGO)との間で資本業務提携に合意しました。

これにより、ロイヤルホテルが所有するリーガロイヤルホテル(大阪)の信託受益権等をBGOに譲渡し、同ホテルの運営を継続する形で新たなビジネスモデルへの転換を図ります。

運営に特化することで、財務体質の改善と将来の成長資金の確保を目指し、さらにBGO主導による135億円規模のリノベーションを実施予定です。

異業種である不動産ファンドによる参入が、ホテルブランド価値向上と経営強化に直結する好例といえます。

(情報参照元:日本M&Aセンター M&Aマガジン「ロイヤルホテル、リーガロイヤルホテル(大阪)の土地・建物を外資系の投資会社に売却へ」)

ホテル・旅館業界のM&Aにおける相場

ホテル・旅館業界におけるM&Aを検討する上で、売り手であれ買い手どちらも、相場を把握することは非常に重要です。

ここでは、M&Aにおける相場の決まり方と、企業価値評価に影響を与える要素について解説します。

ホテル・旅館業界のM&Aの相場の決まり方

ホテル・旅館のM&Aにおける買収価格は一律ではなく、立地条件や施設の規模、設備の充実度などによって大きく異なります。

温泉や宴会場、客室数が多い施設や好立地の物件ほど資産価値が高く、買収費用も高額になる傾向があります。

中小・中堅規模のホテル・旅館であれば、価格帯はおおよそ数千万円〜数億円が一般的です。

一方、レジャーホテルや都市型の大規模ホテルでは、買収額が数十億円に達するケースもあります。

ただし、規模が大きいからといって必ずしも高額になるとは限らず、設備や収益性、エリアの市場性など総合的な要因によって評価額は変動します。

ホテル・旅館の売買相場を把握する方法

ホテル・旅館の売買相場を調べるには、大きく分けて2つの方法があります。

まず一つ目は、「公開情報を参考にする方法」です。

多くのM&A仲介会社では、取り扱っているM&A案件のうち、公開可能なものをホームページ上で掲載しています。

譲渡希望価格が記載されているケースもあり、売却希望側の目安とはいえ、相場感をつかむ手がかりになります。

また、成約済みの案件概要が紹介されている場合もあるため、ホテル・旅館業に関する事例があれば参考にすると良いでしょう。

さらに、不動産物件として元ホテル・旅館の売却情報が掲載されているケースもあります。これは事業全体ではなく不動産単体としての価格ですが、施設の立地や規模を加味すれば参考情報として活用できます。

二つ目は、「M&A仲介会社などの専門家に算定を依頼する方法」です。

より正確な売買相場を知りたい場合には、M&A仲介会社などの専門家に資産価値の算定を依頼することが必要です。

ホテルや旅館は企業としての側面もあるため、貸借対照表の純資産やキャッシュフロー、立地条件・設備内容・客室数といった資産の内容をもとに、専門的な算定手法で評価されます。

M&A仲介会社の中には、資産評価を行う無料サービスを提供しているところもあります。

正確な相場を把握するためには、複数の情報源を比較しながら、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることが大切です。

ホテル・旅館業界のM&Aにかかる費用

M&Aでは、売り手と買い手の双方にさまざまな費用が発生します。

費用の内訳は、手続きの内容や契約形態によって異なりますが、ここでは代表的なものを紹介します。

売り手(譲渡企業)側にかかる主な費用

ホテル・旅館のM&Aにおいて、売り手側が負担する主な費用は以下の通りです。

費用項目 内容
M&A仲介会社への手数料 M&A仲介会社に支払う手数料。一般的に、成功報酬として譲渡金額の数%が設定されます。レーマン方式で算出されることが多いですが、仲介会社によって異なります。
デューデリジェンス費用 デューデリジェンスは通常、買い手側が行うため、売り手側に費用が発生することは多くありません。

ただし、入札案件で複数の買い手に対応する場合や、株式交換などで双方の調査が必要なケースでは、売り手側にも対応費用がかかることがあります。

アドバイザリー費用 M&A戦略の策定、交渉、契約締結などに関して、アドバイザー(投資銀行など)に支払う費用です。M&Aの規模や複雑さによって大きく変動します。
税金 株式譲渡で得た利益には、譲渡所得税が課税されます。

【個人】

売却益には総合課税・分離課税がかかります。

【法人】

売却益には法人税がかかります。

買い手(譲受企業)側にかかる主な費用

買い手側が負担する主な費用は以下の通りです。

費用項目 内容
買収費用 買収の対象となる会社を買う際の費用です。

株式譲渡や事業譲渡では支払対価、株式交換や合併などでは、渡すことになる株式が買収費用になります。

M&A仲介会社への手数料 M&A仲介会社に支払う手数料です。売り手と同様に、成功報酬として譲受金額の数%が設定されます。
デューデリジェンス費用 弁護士、会計士などの専門家による企業調査(デューデリジェンス)にかかる費用です。調査の内容は、財務・法務・税務など多岐にわたり、調査範囲や深度によって費用は変動します。
アドバイザリー費用 M&A戦略の策定、交渉、契約締結などに関して、アドバイザー(投資銀行など)に支払う費用です。M&Aの規模や複雑さによって大きく変動します。
税金 株式譲渡や株式交換は非課税のため、消費税はかかりませんが、事業譲渡では課税資産に対して消費税が発生します。

不動産を含む場合は、不動産取得税や登録免許税もかかります。

登記費用 M&Aの手法によっては登記手続きが必要で、所有権移転登記などでは内容に応じた費用と登録免許税が発生します。

ホテル・旅館業界のM&Aを行う流れ

ここでは、M&Aの検討開始から最終的な統合までの、各工程について解説します。

ステップ1:M&A戦略の策定と専門家への相談

まず、売却の目的や希望条件を整理し、M&Aを通じて何を実現したいのか明確にします。

そのうえで、M&A仲介会社やアドバイザーなどの専門家に相談し、最適な進め方を検討します。

専門家は売却戦略の立案から候補先選定、交渉支援までトータルでサポートしてくれるため、早期の相談が成功の鍵です。

専門家との契約を結ぶ際は、アドバイザリー契約と秘密保持契約を結ぶ必要があります

ステップ2:譲渡/買収候補企業の選定とアプローチ

専門家と連携しながら、譲渡先となる企業の選定を行います。

選定基準は、事業継続性、従業員の雇用維持、理念の共感度などさまざまです。

選定後は、買収意欲の高い企業にアプローチをかけ、興味を持ってもらえるよう情報提供を進めていきます。

ここでは、候補先との相性を慎重に見極めることが重要です。

ステップ3:秘密保持契約の締結と初期情報の開示

候補企業との間で秘密保持契約(NDA)を締結し、売却に関する初期情報を開示します。

この段階では、財務状況や事業内容、資産情報などの概要を提示します。

秘密保持契約により、外部への情報漏洩リスクを抑えつつ、候補企業の関心度や買収意欲を具体的に見極めるプロセスです。

ステップ4:トップ面談と条件交渉

初期情報の開示後、売り手・買い手の経営トップ同士が直接面談を行います。

トップ面談では、事業への想いや譲渡後のビジョンを共有し、相互理解を深めることが目的です。

面談後、具体的な条件交渉へと進みます。価格や譲渡条件、従業員の処遇など重要項目について、双方の希望をすり合わせていきます。

ステップ5:基本合意書の締結

双方の大枠の合意内容が固まったら、基本合意書(LOI)を締結します。

基本合意では、主に以下の内容を定めます。

  • M&Aスキームの概要
  • 譲渡価格の概算
  • 全体のスケジュール
  • 買収監査の実施や役員の処遇
  • 保証債務の解消
  • 独占交渉権
  • 秘密保持義務の設定
  • 一般条項

このうち、独占交渉権や秘密保持義務の設定などには、法的拘束力があります。

ステップ6:デューデリジェンス(買収監査)の実施

基本合意後、買い手によるデューデリジェンスが行われます。

財務、法務、税務、労務など多方面にわたる詳細調査を通じて、リスクの有無や企業価値の正確な把握を行います。

売り手側は、迅速かつ正確に資料提供や質疑対応を行うことが、スムーズな進行のポイントです。

ステップ7:最終条件交渉と最終契約書の締結

デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終的な譲渡価格や契約条件を再交渉します。

未払税金や訴訟リスク、労務問題、簿外債務、不動産の瑕疵などのリスクが判明した場合、価格調整や条件変更が行われることもあります。

最終的に双方が合意すれば、最終契約書(譲渡契約書)を締結し、正式にM&Aが成立します。

ステップ8:クロージング(決済・引き渡し)とPMI(統合プロセス)

契約締結後、クロージングと呼ばれる決済・引き渡し手続きが行われます。

資金の受け渡しや株式・資産の名義変更が完了したら、売却は正式に成立します。

そのあとは、PMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)として、事業の統合作業を進め、譲渡後の円滑な事業運営を目指します。

ホテル・旅館業界のM&Aを成功させるポイント

ホテル・旅館業界のM&Aにおける売り手と買い手、それぞれの立場から成功のための重要なポイントを解説します。

売り手(譲渡企業)側が成功させるためのポイント

ホテル・旅館のM&Aにおいて、売り手側が成功を収めるためには、以下の点が重要です。

ポイント 詳細
明確な売却理由と目的 なぜ会社を売却するのか、売却によって何を実現したいのかを明確にしましょう。

後継者不足、経営資源の集中、新規事業への投資など、具体的な理由を持つことで、買い手との交渉がスムーズに進み、より良い条件を引き出せます。

優位性の明確化 独自の強みや競争優位性を明確にしましょう。

立地、ブランド力、顧客満足度、従業員のスキルなど、自社の魅力を最大限にアピールすることが重要です。

従業員のケア M&Aは、従業員にとって大きな不安要素となります。

従業員の雇用維持や待遇改善に配慮し、丁寧な説明を行い、従業員のモチベーション低下を防ぎましょう。

適切なアドバイザーの選定 M&Aは専門的な知識や経験が必要となる複雑なプロセスです。

M&A仲介会社、金融機関、士業専門家など、実績と経験豊富なアドバイザーを選び、サポートを受けましょう。

買い手(譲受企業)側が成功させるためのポイント

買い手側がホテル・旅館業界のM&Aを成功させるためには、以下の点が重要となります。

ポイント 詳細
買収戦略の明確化 買収の目的を具体的に設定しましょう。

シナジー効果、市場拡大、新規顧客の獲得など、具体的な目標設定が重要です。

立地条件・集客機能の評価 ホテル・旅館の価値を見極める際は、立地の良さと集客力が重要な判断基準です。アクセスの良さや観光資源への近さに加え、独自のサービスやマーケティング施策による集客力も評価ポイントとなります。
収益・コスト管理の評価 高い売上水準の維持と、人件費・設備維持費・仕入れ代などの固定費をどれだけ抑えられているか確認しましょう。ホテル・旅館では、固定費の管理が経営安定の鍵となるため、買収先を決める際に確認することが重要です。
専門家との連携 M&Aには法務、財務、税務など、さまざまな専門知識が必要です。弁護士、公認会計士、税理士などの専門家と連携し、適切なアドバイスを受けましょう。

ホテル・旅館業界のM&A相談先と選ぶポイント

ホテル・旅館業界のM&Aを成功させるためには、適切な相談先を選ぶことが非常に重要です。

ここからは、ホテル・旅館業界のM&A相談先と選ぶポイントを解説します。

M&A仲介会社・アドバイザリーファーム

M&A仲介会社やアドバイザリーファームは、M&Aに関する専門的な知識と豊富な経験を持っており、M&Aの全プロセスをサポートしてくれます。

売り手と買い手のマッチング、条件交渉、デューデリジェンス、契約締結など、M&Aに関するあらゆる業務を代行してくれるため、M&Aの経験がない企業でも安心して進めることができます。

特に、ホテル・旅館業界に特化したM&A仲介会社であれば、業界の動向や相場、特有の事情などを考慮したアドバイスを受けることが可能です。

完全成功報酬制を採用している会社もあるため、初期費用を抑えたい企業にもおすすめです。

金融機関(銀行、信用金庫)

銀行や信用金庫といった金融機関もM&Aの相談先として挙げられます。

金融機関は、資金調達や財務に関する専門知識を持っており、M&Aに必要な資金調達のサポートや、企業価値評価などのアドバイスを提供してくれます。

また、多くの企業とのネットワークを持っているため、M&Aの相手先を探す際にも役立つでしょう。

士業専門家(公認会計士、税理士、弁護士)

公認会計士、税理士、弁護士などの士業専門家も、M&Aの各段階で専門的なサポートを提供してくれます。

公認会計士や税理士は、財務デューデリジェンスや税務に関するアドバイスを行い、弁護士は、法務デューデリジェンスや契約書の作成・レビューなどを担当します。

M&Aの規模や内容によっては、これらの専門家のサポートが必要となる場合も少なくありません。

事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関

事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関は、中小企業のM&Aや事業承継を支援するために設立された機関です。

M&Aに関する相談や情報提供、専門家の紹介などを行っており、特に中小企業にとっては頼りになる存在です。

相談は無料で受けられる場合が多く、費用を抑えたい企業にとっては有効な選択肢となります。

相談先を選ぶ際のポイント

M&Aの相談先を選ぶ際には、以下のポイントを考慮することが重要です。

ポイント 詳細
実績の確認 ホテル・旅館業界におけるM&Aの実績が豊富にあるか確認しましょう。実績が多いほど、業界特有の事情やノウハウに精通していることが多いです。
専門性の有無 自社のM&Aの目的に合った専門性を持っているか確認しましょう。例えば、海外企業とのM&Aを検討している場合は、国際案件に強い専門家を選びましょう。
担当者との相性 M&Aは長期にわたるプロセスとなるため、担当者との相性は非常に重要です。コミュニケーションが円滑に進められるか、信頼できる人物かどうかを見極めましょう。
明確な料金体系 M&Aにかかる費用は相談先によって異なります。事前に見積もりを取り、費用体系や成功報酬の条件などを十分に確認しましょう。

これらのポイントを慎重に見極めたうえで、自社に最適なパートナーを選び、M&Aを成功へと導きましょう。

ホテル・旅館業界のM&Aを成功に導くために

ホテル・旅館業界は一時縮小傾向にありましたが、近年は景気回復やインバウンド需要の高まりを受け、徐々に活性化しています。それに伴い、業界内ではM&Aも活発に行われるようになりました。

一方で、旅行スタイルの変化や新型コロナウイルスの影響により、業界の環境は大きく変わりつつあります。

今後は、Webマーケティングを活用した集客強化など、時代のニーズに対応する取り組みがますます重要となるでしょう。

変化の時代を乗り越えるためにも、M&Aを戦略的に活用し、持続的な成長を実現することが重要です。

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