M&A用語集
拒否権付株式
【読み】きょひけんつきかぶしき
拒否権付株式とは、株主総会において特定の重要議案を否決できる権利を持つ特別な種類株式のことです。「黄金株」とも呼ばれます。
もともとは英国の国営企業を民営化する際に、外国企業による敵対的買収を防ぐ目的で政府が保有する株式に拒否権を付与したことが始まりです。現在では、特定の株主に取締役会決議に対する拒否権などの特別な権限を持たせるために用いられています。特に、発行企業にとって友好的な株主にこれを持たせることで、敵対的買収への強力な防衛策となります。一方で、拒否権付株式には懸念点もあります。企業価値の向上が期待できる場面もあるものの、過半数の株主が賛成する買収提案であっても、経営者の意向で否決できるため、株主平等の原則や一株一議決権の原則を損なう可能性があります。また、買収防衛策として有効な一方で、逆に買収側が黄金株を取得するリスクもあります。従来は種類株式のみを対象に譲渡制限を設けることはできませんでしたが、会社法の施行により、種類株式にも譲渡制限を設定できるようになりました。なお、取締役の過半数の選解任などの重要事項に関する拒否権付株式は、上場廃止基準の対象となる場合があります。