M&A基礎知識

M&Aの目的別成功事例21選!成功のポイントと失敗事例も解説

M&Aの目的別成功事例21選!成功のポイントと失敗事例も解説

M&Aを検討しているものの、自社に最適な戦略やスキームがわからず、成功事例を知りたいと考える経営者は多いのではないでしょうか。

M&Aの成功パターンとリスクの両方を把握することで、失敗を回避しM&Aの成功確率を高められます。

本記事では、大企業・中小企業のM&A成功事例を目的別に21例紹介し、失敗事例とM&Aを成功させるポイントについても解説します。

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M&Aの主な目的

M&Aの主な目的

M&Aを実施する目的は概ね以下に分類されます。

  • 事業拡大・売上向上
  • サプライチェーン拡大
  • 異業種参入・多角化
  • 既存事業強化・シナジー獲得
  • バリューアップ
  • 個人による創業
  • 事業承継・後継者問題解決
  • 経営再建・事業成長

M&Aは事業のさらなる成長や後継者問題の解決など、多様な企業課題を解決に導けるため、実施目的も多岐にわたります。

M&Aの成功率は2〜4割?|成功率を高める5つのポイントを解説

事業拡大・売上向上M&A成功事例3選

事業拡大・売上向上M&A成功事例3選

ここでは、M&Aで事業拡大を成功させた3つの事例を紹介します。

スシローグローバルホールディングス×株式会社京樽(テイクアウト分野への参入)

回転寿司業界大手のスシローは、コロナ禍で需要が高まるテイクアウト市場への本格参入を目指し、2021年に持ち帰り寿司の老舗である京樽を買収しました。

このM&Aによって、スシローは都市部の京樽店舗網を獲得し、京樽はコロナ不況下での経営安定化を実現しています。

項目 内容
譲受企業 株式会社スシローグローバルホールディングス
譲渡企業 株式会社京樽
M&Aの目的 テイクアウト事業の強化、新たな顧客層の獲得
シナジー効果 ・スシローの仕入れ力と京樽の販売網の融合

・両ブランドの顧客層の相互送客

・店舗開発ノウハウの共有による出店加速

(情報参照元:日本経済新聞「スシロー、すし店の京樽を買収 吉野家から

株式会社アッピアス×株式会社ブルパス・キャピタル(チーム化による拡大戦略)

神奈川県で高級ヘアサロンを展開する株式会社アッピアスは、ワンマン経営を脱却し成長スピードを上げるため、投資ファンドのブルパス・キャピタルとの資本提携を実施しました。

結果として譲渡側は経営基盤が強化され、ファンド側もアッピアスのブランド効果で企業価値向上を果たしています。

項目 内容
譲渡企業 株式会社アッピアス
譲受企業 株式会社ブルパス・キャピタル
M&Aの目的 ・経営基盤の強化

・M&Aによる成長戦略の加速

シナジー効果 ・ファンドの資金力と経営ノウハウの活用

・事業規模の拡大とサービス領域の拡充

(情報参照元:株式会社ブルパス・キャピタル「株式会社アッピアスとの資本業務提携に関するお知らせ 」)

総合建設業A社×電気通信工事業B社(業務範囲拡大)

地域で安定した基盤を持つ総合建設業A社は、発電需要に伴う電気工事領域の拡充を図るために、電気通信工事の優れた技術とノウハウを持つB社をグループに迎え入れます。

M&Aの結果、民間工事メインだったB社は公共工事を受注できる基盤を手に入れ、従業員の国家資格取得を後押ししています。

項目 内容
譲受企業 総合建設業A社
譲渡企業 電気通信工事業B社
M&Aの目的 ・公共工事における対応範囲の拡大

・受注競争力の強化

シナジー効果 ・A社の営業力とB社の技術力を組み合わせ、従来応札できなかった案件の受注が可能に

・両社の人材交流による技術力向上

サプライチェーン拡大M&A成功事例3選

サプライチェーン拡大M&A成功事例3選

M&Aによって原材料の仕入れから製品の販売まで、サプライチェーンを強化することも可能です。
ここでは、川上から川下までの連携強化によって事業基盤を強固にした事例を紹介します。

味の素株式会社×トルコ・キュクレ食品社(中東への事業拡大)

グローバル展開を進める味の素は、経済成長中の中東エリアの事業基盤を確立するため、2017年にトルコの食品大手キュクレ社を買収し100%子会社化しました。

同M&Aによって、味の素は中東エリアにおける総合食品メーカーとしての地位を確立しています。

項目 内容
譲受企業 味の素株式会社
譲渡企業 キュクレ食品社
M&Aの目的 ・トルコ及び中東市場への本格参入

・現地での製造・販売網の獲得

シナジー効果 ・味の素の製品開発力とキュクレ社の現地販売網の融合

・双方の得意分野を掛け合わせた商品開発力の向上

(情報参照元:味の素株式会社プレスリリース「味の素(株)、トルコの食品会社キュクレ食品社を100%子会社化」)

株式会社大善×有限会社コーワーカーズ(グループ化による事業拡大)

300年の歴史を誇る老舗物流企業の大善は、度重なるM&Aや業種転換で事業成長を図ってきました。同業のコーワーカーズをグループに迎え入れた際には、両社の事業基盤を相互に補完しています。

老舗企業の基盤と小規模企業のフットワークを掛け合わせた両社は、ミャンマーへの事業展開も実現しました。

項目 内容
譲受企業 株式会社大善
譲渡企業 有限会社コーワーカーズ
M&Aの目的 ・営業エリアの拡大

・譲渡企業の多様な人材の確保

シナジー効果 ・物流網の拡大

・海外進出などの大胆な成長戦略も可能に

(情報参照元:有限会社コーワーカーズ「資本業務提携に関するお知らせ」)

株式会社吉田東光×株式会社野村商事(物流網の拡大と安定化)

物流の2024年問題を迎えるにあたり、物流網の整備を進めていた建設資材専門商社吉田東光は、製品の安定供給と物流効率の向上を目指し、運輸業の野村商事を子会社化しています。

M&Aにより、譲受企業は製造から配送までの一貫体制を構築し、譲渡企業はグループ化により経営安定化を実現しています。

項目 内容
譲受企業 株式会社吉田東光
譲渡企業 株式会社野村商事
M&Aの目的 自社物流網構築によるサプライチェーンの安定化
シナジー効果 ・物流コストの削減と配送リードタイムの短縮

・顧客ニーズに合わせた柔軟な配送体制の実現

異業種参入・多角化M&A成功事例3選

異業種参入・多角化M&A成功事例3選

続いて、異業種への参入によって事業の多角化を成功させた事例を紹介します。

キリンホールディングス×株式会社ファンケル(ヘルスサイエンス分野への進出)

酒類・飲料事業を主力とするキリンは、新たな成長領域としてヘルスサイエンス分野に注目し、健康食品・化粧品大手のファンケルと資本業務提携し、共同で研究開発や商品開発を開始しています。

2024年にはファンケルを完全子会社化し、両社はアジア・パシフィックエリア進出に向け基盤を強化しています。

項目 内容
譲受企業 キリンホールディングス株式会社
譲渡企業 株式会社ファンケル
M&Aの目的 ヘルスサイエンス事業への本格参入
シナジー効果 ・キリンの発酵・バイオ技術とファンケルの製品開発力・販売網の融合

・両社のブランド力を活かした共同商品の開発

(情報参照元:キリンホールディングス株式会社「株式会社ファンケルの完全子会社化に向けた公開買付けが成立」)

旅館C社×写真スタジオD社(異業種転換と事業承継)

人気の隠れ宿として知られる旅館C社は、後継者不在のためブライダル事業と写真スタジオを運営するD社へ事業を譲渡しました。

その結果、C社は宿泊付きの結婚式場として旅館を再生させ、D社は旅館内にフォトスタジオを設営し、両事業とも軌道に乗せることに成功しています。

項目 内容
譲受企業 写真スタジオD社
譲渡企業 旅館C社
M&Aの目的 ・旅館の事業承継

・D社のブライダル事業のサービス拡充

シナジー効果 ・旅館の伝統と風格を活かしユニークな結婚式場を創出

・C社の従業員の雇用を維持し、新たな活躍の場を提供

合成樹脂製品企業E社×アパレル企業F社(買収による多角化)

自動車部品などを製造する合成樹脂製品企業E社は、事業多角化のためにアパレル企業を探していました。
そこで、譲渡先を探していたアパレル企業F社とマッチングし、買収しています。

双方の目的一致とF社株主の協力もあり、両社のM&Aは約2カ月の短期で合意形成しました。譲渡側のF社から取締役を立てたことも早期成立のポイントです。

項目 内容
譲受企業 合成樹脂製品企業E社
譲渡企業 アパレル企業F社
M&Aの目的 事業ポートフォリオの多角化による経営リスクの分散
シナジー効果 ・異なる業界のノウハウを共有し、新たな事業機会を創出

・E社の生産管理技術をF社に応用し、生産効率を改善

既存事業強化・シナジー獲得M&A成功事例2選

既存事業強化・シナジー獲得M&A成功事例2選

ここでは、同業または関連業種の企業との統合により、強力なシナジーを生み出した事例を紹介します。

株式会社資生堂×米ベンチャーGiaran(AIアルゴリズム開発企業の買収)

化粧品大手の資生堂は、デジタル化への対応を加速させるため、2017年にAI技術を持つ米国のベンチャー企業Giaranを買収しました。

同社では顧客個別に最適なメイクをバーチャルで体験できるサービスをリリースし、顧客満足度を向上させています。

項目 内容
譲受企業 株式会社資生堂
譲渡企業 Giaran Inc.
M&Aの目的 デジタル技術を駆使したパーソナライゼーションサービスの強化
シナジー効果 ・GiaranのAI技術と資生堂の膨大なデータにより新たな顧客体験を創出

・デジタル分野での競争力と若年顧客の獲得に成功

(情報参照元:株式会社資生堂「資生堂がアメリカ地域本社を通じて米国ベンチャー企業Giaran Inc.を買収」)

エアトリ×株式会社ノックラーン(子会社化による新規事業の拡充)

旅行予約サイトを運営するエアトリは、人材採用支援を手がけるノックラーンを子会社化し、HRコンサルティング事業を立ち上げています。

同社ではこれまでもITオフショア開発やメディア事業など、新規事業の立ち上げ時に専門企業をグループ化し、各企業の上場をバックアップしてきました。今後はノックラーン社の上場に向け全面支援していく方針です。

項目 内容
譲受企業 株式会社エアトリ
譲渡企業 株式会社ノックラーン
M&Aの目的 ・事業規模と商圏の拡大

・ノックラーン社の上場

シナジー効果 ・グループの採用力強化

・両事業への相互送客

(情報参照元:株式会社エアトリ「スタートアップ向け採用支援事業の「Recboo」を展開する株式会社ノックラーンの株式取得及び子会社化のお知らせ」

企業価値向上M&A成功事例2選

企業価値向上M&A成功事例2選

ここでは、M&Aによって企業価値を高めた事例を紹介します。

KDDI株式会社×株式会社ソラコム(IoTプラットフォームの構築)

KDDIは、今後の成長が見込まれるIoT分野での事業基盤を強化するために、IoTプラットフォームのスタートアップ企業ソラコムを買収しました。

KDDIの持つ通信インフラ網とソラコムの技術力を掛け合わせ、両社はグローバルなIoT事業を新たに展開しています。

項目 内容
譲受企業 KDDI株式会社
譲渡企業 株式会社ソラコム
M&Aの目的 ・IoT事業のグローバル展開加速
・新たな事業の柱の構築
シナジー効果 ・KDDIの資本力によりソラコムのサービスをグローバルに展開

・多様なIoT技術の連携で、より高付加価値のIoTソリューションを開発

(情報参照元:KDDI株式会社「~グローバルにも通じる「日本発」のIoTプラットフォーム構築へ~」)

株式会社ビーリンク×株式会社UWS ENTERTAINMENT(オペレーション×デザインの新価値創造)

ダーツバーなどのエンターテインメント飲食業を手がけるビーリンクは、より良い空間演出のために、デザインに強い提携先を探していました。

そこで、アクアリウム制作会社UWS ENTERTAINMENTを買収し、両社の強みを活かした新たなエンターテインメント事業を立ち上げ、さらに商業施設への事業展開も実現しています。

項目 内容
譲受企業 株式会社ビーリンク
譲渡企業 株式会社UWS ENTERTAINMENT
M&Aの目的 ・新規事業領域への進出

・新たなエンターテインメント事業の創出

シナジー効果 ・ビーリンクの事業運営ノウハウとUWSのデザイン力を組み合わせ、事業を急成長させる

・商業施設などへ事業展開し、新たな収益源を確立

(情報参照元:株式会社UWS ENTERTAINMENT「株式会社ビーリンクへの株式譲渡に関するお知らせ」)

個人による創業M&A成功事例2選

個人による創業M&A成功事例2選

近年、個人が会社をゼロから立ち上げずに既存の事業を引き継ぐM&A創業が注目されています。
ここでは、M&Aによりリスクを抑えながら個人が企業経営者に就任した事例を紹介します。

元会社員G×個人経営メキシコ料理店H(M&Aによるオーナー就任)

元会社員のG氏は独立のために譲渡案件を探していました。そこで、事業の共同運営者を探していた個人経営のメキシコ料理店HとのM&Aを実施しています。

主要人材の退職などの問題はあったものの、支援機関の協力によりM&Aへの影響は最小限に抑えられ、さらに常連客やレシピ、店舗設備をそのまま引き継いだためスムーズに事業をスタートできました。

項目 内容
譲受者 元会社員G氏(個人)
譲渡者 メキシコ料理店Hのオーナー(個人)
M&Aの目的 ・G氏の独立開業

・Hオーナーの事業承継と引退

シナジー効果 ・既存の顧客基盤とブランドを活かし、安定した経営を実現

・G氏の新たなアイデア(SNS活用など)により、新規顧客を獲得

病院経営者I×洋菓子製造企業J社(食事療法への応用、シナジー効果実現)

兵庫県の洋菓子製造企業J社は、外部環境の変化により事業譲渡を検討していました。そこで病院経営者であり、食事療法とのシナジーを期待するI氏とのM&Aに踏み切りました。

異業種間のM&Aであるため、I氏がJ社のパティシエに今後の経営方針を丁寧に伝えた結果、PMIを大きな混乱なく実現しています。

項目 内容
譲受者 病院経営者I氏(個人)
譲渡企業 洋菓子製造企業J社
M&Aの目的 ・病院事業とのシナジー創出

・食事療法の質の向上

シナジー効果 ・J社の熟練の製造技術を活かし、患者に喜びと感動を与える洋菓子を提供

・病院での提供実績がブランド価値となり、J社の一般向け販売の拡大が期待される

事業承継・後継者問題解決M&A成功事例3選

事業承継・後継者問題解決M&A成功事例3選

ここでは中小企業による事業承継M&Aの事例を紹介します。

事業承継型M&Aとは?メリット・デメリット・成功のポイントを解説

計測機器メーカーK社×施工・メンテナンス企業L社(事業譲渡)

独自の技術を持つ計測機器メーカーK社は、経営者と従業員の高齢化により廃業を検討していました。しかし取引先への影響を考慮して廃業を思い留まり、M&Aを視野に入れ始めました。

財務状況的にM&Aが困難と思われたK社でしたが、支援機関から4社もの譲受先候補を紹介されています。最終的に、計測機器の施工・メンテナンス企業L社から技術力と商圏を高く評価され、事業譲渡に漕ぎつけました。

項目 内容
譲受企業 施工・メンテナンス企業L社
譲渡企業 計測機器メーカーK社
M&Aの目的 ・K社の事業承継

・L社の事業領域拡大(製造分野への進出)

シナジー効果 ・長年の取引関係により、スムーズな技術・ノウハウの承継が実現

・L社は製造から施工まで一貫して手がけられるようになり、顧客への提供価値が向上

家族経営懐石料理M社×レジャー業企業N社(業務提携)

地域で評判の高い家族経営の懐石料理店Mは、古い設備を更新する資金を捻出できず廃業も検討していました。しかし地元の信用金庫に資金の相談をしたところ、飲食業参入を計画中のレジャー施設経営N社がスポンサーに名乗りを上げ、業務提携する運びとなりました。

M&Aの結果、N社は飲食店経営のノウハウを獲得し、Mはインバウンドの外国人客獲得に成功しています。

項目 内容
譲受企業 レジャー業企業N社
譲渡企業 懐石料理店M
M&Aの目的 懐石料理店Mの事業承継、N社の施設における食サービスの強化
シナジー効果 ・N社の資金協力を得てMは店舗を刷新、N社は飲食店経営ノウハウを獲得した

・Mのブランドと味を守りつつ、N社と共同のPRにより新規顧客やインバウンド客の獲得に成功

金属加工業企業O社×同業大手企業P社(会社売却)

顧客の要望に応えて部品を製造・加工する金属加工業O社は、高い技術力を持ちながら後継者不在で廃業の危機に立たされていました。そこで地方進出を狙う同業大手のP社への会社売却を決定しています。

O社の高い技術力と取引先との強い信頼関係はP社にとって魅力でした。O社は従業員の雇用を維持しただけでなく、処遇改善も実現しています。

項目 内容
譲受企業 同業大手企業P社
譲渡企業 金属加工業企業O社
M&Aの目的 O社の事業承継、P社の技術力強化と生産能力の増強
シナジー効果 ・O社の持つ特殊な加工技術によりP社製品ラインナップが充実

・P社の資本力によりO社従業員の処遇が改善

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経営再建・事業成長M&A成功事例3選

経営再建・事業成長M&A成功事例3選

業績不振に陥った企業が、他社の支援を受けることで経営を立て直し、再び成長軌道に乗るケースもあります。ここでは、M&Aが事業再生につながった事例を紹介します。

赤字会社のM&Aは可能?売却できる理由や手法を徹底解説

債務超過の卸売業企業Q社×同業企業R社(事業譲渡に成功)

卸売業のQ社は、前代からの過剰な在庫と借入金を抱えた債務超過に悩まされていました。そこでQ社社長は弁護士に相談し、中小企業再生支援協議会の手続きを経てスポンサー探しをしています。

そしてQ社の販路や知名度が高く評価され、同業中堅企業のR社への全事業譲渡が決定しました。また、Q社社長は前代からの経営者保証を解除でき、安心して企業経営に専念できるようになりました。

項目 内容
譲受企業 同業企業R社
譲渡企業 卸売業企業Q社
M&Aの目的 Q社の経営健全化と経営者保証の解除、R社の事業規模拡大
シナジー効果 ・R社はQ社の優良な顧客と販路を獲得し、売上を伸ばす

・Q社の従業員雇用が守られ、社長の経営者保証も解除できた

製造・小売企業S社×同業企業T社(採算部門のみの事業譲渡に成功)

製造業と小売業の2事業を展開していたS社は、採算の取れている小売部門のみを同業のT社へ事業譲渡し、経営の重荷でしかない不採算事業(製造業)の清算に踏み切りました。

T社へ小売部門を譲渡したことで、S社は不採算部門の廃業費用を捻出でき、スムーズな解散・清算を実現できました。M&A後の両社はS社の独自性と流通網を活かし、さらなる市場シェア拡大を図っています。

項目 内容
譲受企業 製造業企業T社
譲渡企業 製造・小売企業S社
M&Aの目的 ・S社の経営資源集中

・T社の事業補完

シナジー効果 ・S社は不採算事業から撤退し、経営体質が改善

・T社はS社の主力事業を獲得し、市場シェアを拡大

飲食業企業U社×通信・電子機器販売企業V社(店舗譲渡に成功)

和食店を展開する飲食業U社は、拡大路線の際に店舗を増やした負債が経営を圧迫していました。そこでM&A支援機関へ相談し、事業多角化を進める通信業のV社へ一部店舗を譲渡する合意を取り付けました。

U社を100%子会社化しサービス業へ進出したV社は、既存の経営リソースとノウハウを活かして事業を拡大させ、U社の経営安定化にも寄与しています。

項目 内容
譲受企業 通信・電子機器販売企業V社
譲渡企業 飲食業企業U社
M&Aの目的 U社の経営再建、V社の新規事業参入
シナジー効果 ・U社は不採算店舗を売却し、財務状況が改善

・V社は居抜きで店舗を引き継ぎ、低コストで飲食事業を開始

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M&Aの失敗事例

M&Aの失敗事例

M&Aを成功に導くためには、失敗事例から教訓を得ることも大切です。M&Aにおける失敗とは以下の状態を指します。

  • 想定通りのシナジー効果を得られない
  • 赤字化・のれん減損により税務が悪化する
  • 買収後に簿外債務や不正行為などが発覚する
  • 事業の中核人材の離反や離職

ここでは失敗に終わった過去の大型M&Aを例に挙げ、原因を探ります。

【事例15選】M&Aの失敗とは?原因・リスク・回避策まで徹底解説

キリンホールディングスによるブラジルビール大手企業買収失敗(株主による提訴)

キリンはブラジル市場への進出を狙い、現地の大手飲料企業スキンカリオール社の株式約51%を取得しました。しかし、他の約49%を保有する創業一族に買収は無効との訴訟を起こされ、結果的に同社の全株式を取得しています。

その後、経済の低迷を受けブラジル事業の業績が悪化したことで多額の損失を計上し、事業をハイネケン社に売却する運びとなりました。

ステークホルダーとの連携不足や、海外事業への見通しの甘さが招いた失敗といえます。

(情報参照元:キリンホールディングス「スキンカリオール・グループの株式の追加取得(100%子会社化)に関するお知らせ」「ブラジル子会社減損損失の発生、通期連結業績予想の修正、及び単体業績に係る関係会社株式評価損の発生に関するお知らせ
日本経済新聞「ハイネケンに770億円で キリン、ブラジル事業売却発表」)

第一三共によるインド医薬品メーカーの買収失敗(管理体制の不備が発覚)

第一三共は後発医薬品事業の拡大を狙い、インドの製薬大手を買収しました。
しかし、買収直後に相手企業の工場で品質管理上の問題が発覚し、主要市場である米国へ輸出できなくなったのです。

事前のデューデリジェンス(企業調査)で買収先のリスクを見抜けず、買収後の品質管理やコンプライアンス体制に問題があった事例です。商慣習や企業文化の違いにも留意すべきでした。

(情報参照元:日本経済新聞「第一三共、インド子会社を実質売却 後発薬を大幅縮小」)

東芝による米原発企業の買収失敗(脱原発による経営破綻)

東芝は2006年、エネルギー関連事業のグローバル化を目指し、米国の原子力発電企業ウェスチングハウスを買収しました。

しかし、2011年の福島第一原発事故をきっかけに世界の原発建設計画の多くが凍結された結果、2012~13年には13億ドルの減損額を計上しています。

同社が米国原発事業へ進出する際、三菱重工業や米国ゼネラル・エレクトリック社といった競合に競り勝つために投資額が膨大化したことも、巨額の損失を生んだ要因といえます。

(情報参照元:日本経済新聞「東芝、止まらぬ損失 WH買収で『10年の重荷』」)

LIXILによる独水栓器具企業の買収失敗(不正会計の発覚、破産)

グローバル展開を目指すLIXILは、2015年にドイツの水栓器具大手グローエを買収、翌2016年に完全子会社化しました。

しかし買収後にグローエ傘下の企業で不正会計が発覚し、さらに買収後の経営方針を巡る内部対立も表面化したことで、現地事業がガバナンス不全に陥りました。

デューデリジェンスの不徹底と買収後の不明確なガバナンス体制によるM&A失敗といえます。

(情報参照元:日本経済新聞「LIXIL、独子会社の破産申請検討 410億円の損失も」)

事例から学ぶM&A成功のポイント

事例から学ぶM&A成功のポイント

M&Aの成功事例と失敗事例からは、成功に導くために必要な以下のポイントが見えてきます。

成功のポイント 具体的なアクション
目的と戦略の明確化 ・M&Aで達成したいことを3つ以内に絞る
・成功の定義を数値目標(KPI)で設定する
デューデリジェンスの徹底 ・弁護士や会計士など外部の専門家を積極的に活用する
・財務・法務以外にビジネスや人事面のリスクも洗い出す
売却価格の適正化 ・複数の評価方法で多角的に企業価値を算定する
・シナジー効果を過大視せず保守的なシナリオも想定する
ステークホルダーとのコミュニケーション ・従業員への情報開示のタイミングと内容に留意する
・キーパーソンとの個別面談で不安解消に努める
統合プロセス(PMI)を見据えた計画 ・M&A成立後100日間の明確なプランを策定する
・両社からメンバーを選出しPMI専門チームを立ち上げる

M&Aの目的が明確であれば、競合の動向に惑わされず的確な判断が可能です。また、異業種間やクロスボーダーM&Aにおいては、合意形成が必要なステークホルダーの範囲を的確に把握しましょう。

契約交渉の段階からPMIの計画を具体的に策定しておくことも大切です。

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M&Aの成功事例に学び、さらなる事業成長を実現しよう

まとめ:M&Aの成功事例に学び、さらなる事業成長を実現しよう

M&Aは企業の成長加速や後継者問題まで、さまざまな課題解決の切り札となり得ます。

成功事例の共通項は、明確な目的意識とPMIを見通した計画性、全ステークホルダーへの周到な配慮です。失敗事例の教訓も活かし、成功事例の共通点を着実に実行することで将来のシナジー効果を高められます。

M&A専門家のサポートを得ることで、自社の成長戦略が見えてきます。今回紹介した事例を参照し、自社のM&A成功パターンを見つけてください。

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澤口 良太
監修者

社外取締役(財務)・公認会計士・税理士 澤口 良太

北海道札幌市出身。2003年の学校卒業後、税理士事務所で勤務しながら税理士・公認会計士の資格を取得。KPMGあずさ監査法人を経て、TOMAコンサルタンツや辻・本郷ビジネスコンサルティングでファイナンシャルアドバイザリーサービス(FAS)の責任者を歴任。2020年、独立。澤口公認会計士事務所にて経営やM&Aアドバイザリーを展開している。上場・非上場を問わず企業のオーガニックソースやM&Aによる成長戦略、再生戦略の立案実行をハンズオンにて支援し、多数の実績を有する。2022年のM&Aフォース設立当初から、社外取締役として参画している。

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