後継ぎ問題の解決策|原因・リスクと事業承継の選択肢を解説

後継ぎ問題は、多くの中小企業が直面している深刻な経営課題です。
後継者が決まらないまま経営を続けている企業は少なくなく、「まだ引退するつもりはない」「当面は問題ない」と考えているうちに、後継ぎ問題が深刻化し、黒字であっても廃業を選ばざるを得ないケースもあります。
実際、後継者不在を理由とする廃業は増加傾向にあり、後継ぎ問題は経営者個人の悩みにとどまらず、企業の存続に直結する重要テーマとなっています。
一方で、後継ぎ問題には複数の解決策があります。後継者は親族や社内に限定されるものではなく、近年では第三者への事業承継(M&A)を活用し、事業や雇用を次世代へ引き継ぐ企業も増えています。
本記事では、後継ぎ問題の現状と放置した場合のリスク、そして具体的な解決策や相談先について解説します。
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後継ぎ問題とは

後継ぎ問題とは、経営者の高齢化が進む一方で、事業を引き継ぐ後継者が見つからず、会社の存続が危ぶまれる状況を指します。これは単なる個々の企業の問題ではなく、日本の経済全体に影響を及ぼす社会的な課題です。特に、日本経済を支える中小企業において、この問題は深刻化しています。
本章では、後継ぎ問題の現状や背景、中小企業特有の課題について解説します。
後継ぎ問題の現状
帝国データバンクが2025年に公表した調査では、全国の企業で、後継者不在率は約50.1%と7年連続で改善傾向にあるものの、約半数の企業で後継者がいない状態が続いています。特に中小企業・小規模企業では不在率が高く、事業承継が進みにくい実態が見られます。
さらに、東京商工リサーチの統計では、62.6%の企業が後継者不在と報告されており、依然として後継者不足が根強いことも示されています。
| 調査機関 | 調査年 | 後継者不在率 | 備考 |
| 帝国データバンク | 2025年 | 50.1% | 7年連続で改善し過去最低を記録 |
| 東京商工リサーチ | 2025年 | 62.6% | 前年0.45ポイント上昇 |
(情報元:帝国データバンク「全国『後継者不在率』動向調査(2025年)」)
(情報元:東京商工リサーチ「『後継者不在』年々上昇し62.60%に 代表者が高齢の企業ほど、上昇が顕著」)
後継ぎ問題が深刻化している背景
後継ぎ問題がここまで深刻化した背景には、複数の要因が複雑に絡み合っており、社会構造の変化や価値観の多様化が大きく影響しています。
主な要因は、以下のとおりです。
| 要因 | 詳細 |
| 社会構造の変化 |
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| 価値観の多様化 |
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| 経営環境の厳しさ |
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| 準備不足 |
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中小企業における後継ぎ問題の特徴
中小企業では、経営者個人の能力やノウハウに依存した事業運営が多いため、後継者不在が廃業リスクに直結しやすい点が特徴です。
また、経営者が複数の業務を兼任しているケースが多く、事業承継のための手続きや資金繰りの調整、個人保証の整理などが進みにくいという課題もあります。
こうした背景から、中小企業の後継ぎ問題には、次のような構造的な特徴が見られます。
<中小企業の特徴>
- 経営者依存度が高い:経営判断・取引関係・ノウハウが属人的
- リソース不足:承継準備を担う人材や専門部署が不足している
- 承継方法の検討が不十分:親族承継以外の選択肢(M&Aなど)を検討する余裕がない
これらの点から、中小企業では後継ぎ問題が経営継続の大きな障壁となっており、計画的な支援策や外部リソースの活用が重要です。
後継ぎ問題を放置した場合に起こる3つの問題

後継ぎ問題を放置することには、主に3つの大きなリスクが伴います。本章では、それぞれのリスクについて、具体的に解説します。
黒字経営でも廃業する場合がある
後継者が決まらないまま経営者の高齢化が進むと、たとえ安定した収益を上げている黒字企業であっても、廃業を選択せざるを得ないケースがあります。
後継者探しや引き継ぎには通常数年を要するため、経営者の突然の病気や事故が起きた場合、事業承継を進める時間的余裕がありません。結果として、黒字であっても急遽廃業という事態につながりかねません。
これは、会社にとってはもちろん、社会全体にとっても大きな損失です。長年培ってきた技術やサービスが失われるだけでなく、地域経済の活力にも影響を及ぼす可能性があります。
会社・技術・雇用を次世代に残せない
後継者が見つからず廃業を選択した場合、単に会社が消滅するだけでなく、長年築いてきた雇用や技術、取引関係までも失います。
| 喪失するもの | 具体的な影響 |
| 雇用 | 従業員が職を失い、生活基盤が揺らぐ |
| 技術・ノウハウ | 長年培ってきた独自の強みが社会から失われる |
| 取引先との関係 | サプライチェーンが途絶え、地域経済に打撃を与える |
| ブランド・のれん | 顧客からの信頼や地域での評判が消滅する |
このような事態は、事業そのものに問題があるから起こるのではなく、後継ぎ問題を放置した結果として生じるリスクです。
後継者不在のまま時間が経過すると、会社や技術、雇用といった本来守るべき価値を、次世代に引き継ぐ機会を失いかねません。
企業価値が下がるリスクがある
事業承継を先送りにするほど、企業価値が低下するリスクは高まります。
後継者不在の状態が続くと、経営判断が保守的になり、新規事業への挑戦や設備投資が後回しにされがちです。その結果、市場環境の変化への対応が遅れ、収益力や成長性が徐々に損なわれていきます。
こうした状況で事業承継を検討しても、将来性を評価されにくく、条件の悪化や買い手不足につながる可能性があります。
後継ぎ問題を放置することは、企業の将来価値を自ら引き下げる行為とも言えるでしょう。
後継ぎ問題の具体的な解決策

後継ぎ問題の解決策は、決して1つではありません。親族に頼れない場合でも、多様な選択肢があります。
本章では、主な3つの事業承継の方法について、それぞれのメリットとデメリットを比較しながら解説します。
| 承継方法 | メリット | デメリット |
| 親族内承継 |
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| 従業員・役員への承継 |
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| 第三者承継(M&A) |
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親族内承継
親族内承継とは、経営者の子どもや親族に事業を引き継ぐ方法です。
古くから用いられてきた承継形態であり、従業員や取引先から心情的に受け入れられやすく、経営理念や企業文化を継続しやすい点が特徴です。
親族であれば、早い段階から後継者候補として育成を始めやすく、後継者本人が現場経験を積みながら段階的に経営に関与できます。
一方で、近年は価値観の多様化により、後継者となる意思を持つ親族が見つからないケースも増えています。
早期から計画的に準備できる企業に向いた方法と言えます。
従業員・役員への承継
従業員・役員への承継は、長年会社に貢献してきた人材の中から後継者を選ぶ方法です。
事業内容や社内事情への理解が深いため、承継後も経営方針や業務が大きく変わりにくく、現場の混乱を抑えられます。
一方で、株式を取得するための資金調達や、金融機関からの個人保証の引き継ぎが大きな課題となることがあります。
また、実務経験は豊富でも、経営者としての最終判断や対外的な責任に慣れるまで時間を要する点には注意が必要です。
第三者承継(M&A)
第三者承継(M&A)とは、社外の企業や個人に会社を引き継ぐ方法です。
親族や社内に後継者がいない場合でも、事業の存続と成長を実現できる点が大きな特徴です。
近年は中小企業の後継者不足を背景に、M&Aを活用した承継が増加しています。
幅広い候補者から適切な譲渡先を選ぶことで、雇用や取引関係を維持しながら、会社を存続させられます。こうした引き継ぎが可能なのは、株式譲渡による包括的な承継が主流であるためです。
ただし、条件交渉や企業文化の違いへの配慮が欠かせません。
M&Aによる後継ぎ問題解決が選ばれる理由

親族や社内に後継者が見つからない場合、M&Aは現実的かつ有力な解決策です。
本章では、その主な3つの理由を解説します。
後継者不在でも事業を存続できる
M&Aのメリットは、後継者がいなくても会社を存続させられる点です。
また、譲渡先の経営資源(資本力、人材、販路など)を活用して、自社だけでは難しかった事業の成長を実現できる可能性があります。
廃業を選ばずに済むことで、長年築き上げてきた会社ののれんやブランドを未来へつなげられます。
従業員の雇用・取引先を守れる
後継ぎ問題の解決を目的とするM&Aの場合、株式譲渡による承継が一般的です。株式譲渡では、従業員の雇用契約が引き継がれるため、雇用の安定が図られます。会社そのものが存続し、事業や職場環境が大きく変わりにくい点も特徴です。
また、取引先との契約関係も引き継がれるケースが多く、取引の継続を通じて地域経済への影響を抑えられます。
従業員や取引先を守りながら事業を引き継げる点は、経営者にとって大きな安心材料になるはずです。
創業者利益を確保しながら引退できる
M&Aを実施した場合、その対価として、会社を譲る側であるオーナー経営者は、まとまった資金(創業者利益)を得られます。
この資金は、引退後の生活を豊かにするための資金や、新たな挑戦への元手にできます。
安心して引退後の人生設計を立てられることも、M&Aの大きな魅力です。
後継ぎ問題を解決するために押さえるべきポイント

事業承継を成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
本章では、特に押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
余力のある段階で検討を始める
後継ぎ問題への対応は、思い立ってすぐに解決できるものではなく、一定の準備期間を要します。
特に、事業承継やM&Aを検討する場合、財務状況の整理や事業内容の見える化、条件のすり合わせなど、事前に行うべき作業は多岐にわたります。
経営判断や体力に余力がある段階から検討を始めることで、選択肢を広く持ち、より有利な条件での承継が可能です。
検討を先延ばしにすると、時間的制約から十分な準備ができず、不本意な判断を迫られるリスクが高まります。
自社の強み・弱みを客観視する
後継ぎ問題を検討するうえでは、自社の強みと弱みを客観的に整理することが欠かせません。自社の状況を正しく把握することで、親族内承継・社内承継・第三者承継のいずれが適しているかの判断が可能です。
例えば、独自の技術や安定した顧客基盤、優秀な人材がそろっている企業は、承継後も事業を継続しやすい一方、特定の人物に業務が集中している場合や、設備の老朽化、財務上の課題を抱えている場合は、早期の対策が求められます。
以下のような視点から自社を棚卸しすることで、承継に向けた課題や準備すべきポイントが明確になります。
| 分析の視点 | 具体的な確認項目 |
| 強み |
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| 弱み |
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感情と経営を切り分けて考える
長年経営してきた会社を引き継ぐことに対し、心理的な抵抗や不安を感じる経営者は少なくありません。
「自分の代で終わらせるべきではないか」「社名や経営方針が変わるのではないか」といった感情が、判断を鈍らせることもあります。しかし、事業承継は感情ではなく、会社の将来や従業員の雇用を守るための経営判断です。
感情的な迷いと、事業を存続・成長させるための選択肢を切り分け、冷静に最適な承継方法を検討する姿勢が求められます。
早期に専門家に相談する
後継ぎ問題は、株式や資産の引き継ぎだけでなく、法務・税務・財務・人事など複数の分野が複雑に絡み合う課題です。
経営者一人の判断だけで進めると、思わぬ税負担やトラブルを招くリスクもあります。そのため、できるだけ早い段階で専門家に相談し、選択肢を整理しておくことが重要です。
第三者の客観的な視点を取り入れることで、自社の状況に合った承継方法や進め方を具体的に検討できます。
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本章では、以下の代表的な3つの相談先とそのメリット・デメリットを紹介します。
| 相談先 | メリット | デメリット |
| 金融機関・公的機関 |
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| 税理士・公認会計士 |
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| M&A仲介会社 |
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金融機関・公的機関の相談窓口
取引のある銀行・信用金庫や国が設置する事業承継・引継ぎ支援センターなどは、後継ぎ問題に関する初期の相談先として有効です。
無料で相談できるケースが多く、地域の事業環境や承継事例に基づいた一般的な助言を受けられます。
一方で、M&Aの譲渡先探しや条件交渉、契約締結までの一貫した支援を受けられない場合もあり、具体的な実行段階では他の専門家との併用が必要になる点に注意が必要です。
税理士・公認会計士
税理士や公認会計士は、日頃から財務状況や経営実態を把握している身近な専門家です。
自社株評価や相続税・贈与税の対策など、事業承継に伴う税務面の相談に強みがあります。
ただし、M&Aにおける譲渡先探しや交渉は専門外となることが多いため、M&Aを視野に入れる場合は、事業承継分野の実績があるかを事前に確認しておきましょう。
M&A仲介会社
第三者承継を具体的に検討する場合、M&A仲介会社は実務に精通した相談先です。
豊富な成約実績とネットワークを活かし、企業規模や業種に合った譲渡先を探索できます。条件調整や交渉、契約締結まで一貫して支援してくれるため、経営者の負担を軽減できる点が特徴です。
M&A仲介会社を選定する際は、着手金の有無や専門分野、実績を比較検討することが重要です。
後継ぎ問題は専門家とともに解決する時代へ

後継ぎ問題は、もはや経営者一人の努力や、親族間の話し合いだけで解決できる問題ではなくなりました。多様な選択肢の中から自社に適した道を選ぶためには、専門家の客観的な視点とサポートが不可欠です。
大切なのは、一人で抱え込まず、できるだけ早い段階で信頼できる専門家に相談することです。
親族内承継に固執せず、従業員への承継やM&Aといった選択肢も視野に入れることで、会社の可能性は大きく広がります。
会社の未来と従業員の生活、そして経営者自身の安心のために、勇気を出して次の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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