M&A実務

法人を廃業する手続きの流れとは? 期間と費用・着手のタイミングも解説

近年、後継者不足や経営者の高齢化を背景に、法人の廃業手続きを検討する企業が増加しています。しかし、いざ廃業を決断しても、「手続きは自分でできるのか」「税務署への届け出は?」「費用はどれくらいかかるのか」といった疑問や不安がつきまとうのが現実です。

本記事では、この複雑な法人の廃業手続きの流れを、費用や注意点までわかりやすく解説します。さらに、従業員の雇用や取引先を守り、廃業を回避するためのM&Aなどの代替案についても詳しく紹介します。

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法人の廃業とは

法人の廃業とは、経営者自身の意思によって事業活動を自主的に停止し、法人格を消滅させるための一連の法的手続きを指します。事業の幕引きを自らの手で計画的に実施する戦略的撤退の一手法です。

はじめに法人の廃業の概要を解説します。

日本における廃業の現状

近年、国内の企業の休廃業や解散が増加傾向にあります。コロナ禍の支援策縮小、物価高、後継者問題など複数の要因が重なり、経営環境が厳しさを増しているためです。

帝国データバンクの調査によると、2025年1~8月の全国における休廃業・解散件数は4万7,078件でした。対前年比で9.3%の増加となり2016年以降で最多となる高い水準です。特に、直近の決算が黒字の企業の割合が過去最低となり、損益が悪化した上での休廃業が増加している点が特徴です。

また、負債よりも資産が多い「資産超過型」での休廃業は64.1%を占め、円満な廃業を後押しする支援も背景に、余力があるうちに会社を畳む「あきらめ廃業」が増えている可能性も指摘されています。

情報参照元:帝国データバンク「全国企業「休廃業・解散」動向調査(2025年1-8月)

「黒字廃業」と「後継者不足問題」の関係性と解決策

解散、倒産、破産との違い

廃業と混同されやすい言葉に解散、倒産、破産があります。それぞれ法的な意味合いや手続きの性質が異なるため、正しく理解しておきましょう。

用語 概要 債務の状況 手続きの性質
廃業 経営者が自主的に事業をやめ、会社を清算する手続き。
(法律用語ではない)
・資産が負債を上回る(資産超過) ・自主的な判断

・計画的に進められる

解散 法人格を消滅させるための法的手続き。廃業プロセスの第一歩。 ・問わない 会社法上の手続き
倒産 資金繰りに行き詰まり、弁済不能になる状態。

(法律用語ではない)

・負債が資産を上回る(債務超過) ・経営破綻の状態
破産 裁判所に申し立てて財産を清算する法的手続き。 ・支払不能または債務超過 ・裁判所が決定

・会社の財産は債権者に公平に分配される

廃業を目指す場合は、まず解散手続きを行い、会社に残った財産を整理する清算へと進みます。一方、資金繰りが悪化して債務を弁済できない場合は、裁判所に申し立てて破産などの法的整理を選ばざるを得ません。

自社の状況が資産超過(資産>負債)であれば自主的な廃業が可能ですが、債務超過(資産<負債)であれば破産などの検討が必要です。

法人の廃業を決断すべきタイミング

法人の廃業を決断すべきタイミングは、会社にまだ余力が残っている段階で見極めるのが理想です。

本章では手遅れになる前に適切な判断をするための基準を解説します。

債務超過に陥った

債務超過に陥るおそれがある場合は、早急に事業継続の是非や廃業を検討すべきです。

全資産を売却しても負債を返済しきれない状態が続けば、金融機関からの追加融資は望めません。赤字が常態化し始め、借入金の返済猶予(リスケジュール)を繰り返すようになったら、社会的な信用を失う前に専門家へ相談してください。

早期に動くメリットは以下の通りです。

  • 資産超過の段階であれば、通常清算で円滑に会社をたためる
  • 経営者の個人資産を守りやすい
  • 従業員や取引先への影響を最小限に抑える

経営者が高齢になった

経営者が高齢になった場合も、事業をたたむ潮時といえます。

一般的に、経営者が事業承継や廃業を検討する年齢として70代が一つの目安とされています。

気力や体力が充実しているうちに計画的に廃業を進めることで、複雑な手続きにも冷静な判断が可能です。事業承継の目処が立たない場合は、以下の理由により、会社の価値が損なわれないうちに廃業を検討する判断も賢明といえます。

  • 従業員の再就職先を探す余裕がある
  • 引退後の生活資金を確保できる

運転資金が不足した

運転資金が不足したと感じたら、支払いが滞る前に廃業を視野に入れましょう。

売上があっても手元の現金が尽きると、仕入れ代金や従業員の給与が払えなくなり、信用が一気に失墜します。廃業手続き自体にも数十万円のコストが必要です。早期に対処して以下のようにダメージを最小限に抑えましょう。

  • 廃業費用を確実に確保できる
  • 未払いによるトラブルを回避できる
  • 専門家への報酬も用意できる

資金ショート寸前まで粘るのではなく、費用を払える余力があるうちに撤退を決めるのが賢明な経営判断です。

法人の廃業手続きの流れ

法人の廃業手続きは、単に営業を停止するだけでは完了しません。会社法に基づき、解散の登記や債権者への通知、資産の整理といった厳格なプロセスを踏む必要があります。

完了までには数カ月を要するため、余裕を持ったスケジュール管理を行いましょう。

会社をたたむには?手続き・費用・判断基準を徹底解説

ステップ1:解散の準備と株主総会での特別決議

まずは営業終了日を決め、株主総会を招集して「解散」の決議を行います。

解散は会社の根幹に関わる重要事項であるため、議決権の過半数を持つ株主が出席し、その3分の2以上の賛成が必要です(特別決議)。同時に、解散後の清算手続きを担当する「清算人」も選任します。

  • 実施期限:解散予定日までに実施
  • 必要書類:株主総会議事録

ステップ2:法務局への解散・清算人登記

株主総会で解散が決議された日から2週間以内に、管轄の法務局で解散登記および清算人選任登記を申請します。

登記が完了すると会社は公式に解散となり、会社の代表者は社長から清算人へと法的に変更され、清算人が会社の財産管理や債務弁済の権限を持ちます。

  • 実施期限:解散決議の日から2週間以内
  • 申請先:本店所在地を管轄する法務局

ステップ3:税務署など関係各所への解散届出

登記申請と並行して、税務や社会保険関係の役所へ解散の届け出を行います。

税務署、都道府県税事務所、市町村役場へは「異動届出書」を提出し、解散した事実を報告してください。また、従業員を雇用している場合は、年金事務所やハローワークでの資格喪失手続きも必要です。従業員の退職手続きや離職票の発行もこの段階で行います。

  • 主な提出先:税務署、都道府県税事務所、市町村、年金事務所、労基署(未払い賃金などがある場合)、ハローワーク
  • 添付書類:解散などの事実がわかる登記簿謄本(写し)など

ステップ4:官報公告による債権者保護手続き

会社に対して債権(売掛金など)を持つ人々を保護するため、官報に「解散公告」を掲載します。

公告では、債権者に対して2カ月以上の期間を設け、その期間内に債権を申し出るよう呼びかけます。会社が把握している債権者には、官報とは別に個別の通知(催告)も送らなければなりません。廃業手続きに最低でも2カ月以上かかるのはこのためです。

  • 債権申出期間:公告の日から2カ月以上
  • 掲載申し込み先:官報販売所

ステップ5:財産目録・貸借対照表の作成と承認

清算人は就任後、ただちに会社の財産状況を調査します。

解散日時点での財産目録と貸借対照表を作成し、会社の資産と負債の実態を明らかにしなければなりません。作成した書類は株主総会へ提出し、承認を得る必要があります。これにより、会社に残っている現預金、不動産、売掛金などの資産総額と、借入金や未払金などの負債総額が確定します。

この手続きは、後の債務弁済や残余財産分配の基礎となるものです。

ステップ6:資産の現金化と債務の弁済

資産と負債が確定したら、会社に残る資産を現金化し、債務を返済していきます(清算事務)。

具体的には、取引先からの売掛金を回収し、在庫商品や機械設備、不動産などを売却してから、集めた資金をもとに、買掛金や銀行借入金などの債務を支払う流れです。

もし資産が負債を下回ることが判明した場合は、この時点で通常清算を中止し、破産手続きへ移行しなければなりません。

ステップ7:株主への残余財産の分配

すべての債務を弁済し終えてもなお会社に財産が残っている場合、その財産を株主に分配します(残余財産の分配)。

各株主の持株数(出資比率)に応じて分配されるのが原則ですが、種類株式を発行している場合など、定款に別段の定めがあるときは従います。

ステップ8:法務局への清算結了登記

残余財産の分配が完了したら、清算事務の報告書(決算報告書)を作成します。

この報告書を株主総会に提出し、承認を受けることで、法的に会社の清算が終了します。株主総会での承認日から2週間以内に、法務局へ「清算結了登記」を申請してください。登記が受理されると会社の登記簿は閉鎖され、法人格は完全に消滅します。

  • 実施期限:株主総会での承認から2週間以内
  • 必要書類:決算報告書、株主総会議事録

ステップ9:税務署への清算確定申告

残余財産が確定した日から1カ月以内(かつ残余財産の最終分配の翌日から1カ月以内)に、「清算確定申告」を行わなければなりません。

清算期間中の損益を計算し、納付すべき法人税などがあれば納めます。あわせて税務署などへ「清算結了届」を提出すれば、一連の廃業手続きは完了です。

株式会社以外(有限会社・合同会社・休眠会社)の廃業手続きの流れ

株式会社以外の法人でも、基本的な廃業の流れは大きく変わりませんが、決議機関などに違いがあります。

  • 有限会社(特例有限会社)
    株式会社と同様に、株主総会での特別決議で解散し、清算人を選任して手続きを進めます。(決議権を持つ株主の半数以上の参加と、4分の3以上の賛同が必要)
  • 合同会社
    原則として「総社員の同意」により解散します。清算人の選任も社員の過半数の同意で行う点が特徴です。
  • 休眠会社
    長期間登記がないため職権で解散(みなし解散)された会社であっても、法人格を消滅させるには清算手続きが必要です。放置せず、清算人を選任して登記・清算を進めましょう。

法人の廃業手続きにかかる費用

廃業には、事業をたたむためとはいえ、決して安くない費用が発生します。
事前に全体像を把握し、必要な資金を準備しておくことが重要です。

費用項目 概要 目安費用(税込み)
登記費用 解散登記、清算人選任登記、清算結了登記にかかる登録免許税。 合計:41,000円
官報公告費用 債権者保護手続きのために官報へ解散公告を掲載する費用。 30,000円~40,000円程度
専門家報酬 司法書士、税理士、弁護士などに手続きを依頼する場合の費用。 100,000円~700,000円程度
その他諸費用 在庫処分、原状回復、従業員の退職金など、会社の状況による費用。 数万円~数百万円以上

登記費用(登録免許税)

廃業手続きにおいて、法務局への登記申請時に発生する法定費用です。内訳は以下の通りです。

  • 解散および清算人選任登記:39,000円
  • 清算結了登記:2,000円

合計で41,000円が最低限必要です。

(情報参照元:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」、法務局「株式会社解散及び清算人選任登記申請書」)

専門家報酬

複雑な廃業手続きを専門家に依頼する場合、その報酬が発生します。依頼する範囲や会社の規模によって費用は大きく異なります。

  • 司法書士:登記手続きの代行が中心(数万円~)
  • 税理士:税務申告の代行が中心(10万円程度~)
  • 弁護士:債権者との交渉など法務全般(数十万円~)

手続きをすべて一任する場合は、総額で50万円以上になるケースもあります。

官報公告掲載料

解散公告を官報に掲載するための法定費用です。掲載する行数によっても料金が変動しますが、3万円から4万円程度が目安です。

(情報参照元:全国官報販売協同組合「官報公告掲載料金」)

その他諸費用

上記のいずれにも当てはまらない諸費用には以下のものがあります。

  • 在庫・設備の処分費用:不要な在庫や機械を廃棄・売却する際にかかる費用。
  • 事務所の原状回復費用:賃貸物件を明け渡す際に、入居前の状態に戻すための工事費用。
  • 従業員への支払い:解雇予告手当や退職金の支払い。

これらの費用は高額になる可能性があるため、廃業の計画段階で入念に見積もっておくことが必要です。

法人の廃業手続きを進める際の注意点

廃業手続きは法的・税務的な落とし穴が多く、ひとつのミスが大きな損失やトラブルにつながりかねません。
スムーズに会社をたたむために、特に注意すべき以下のポイントを押さえましょう。

従業員への誠実な対応と法的手続きを怠らない

廃業に伴い、従業員を解雇せざるを得ない場合は、法的な手続きを遵守するとともに、誠実な対応を心がけることが不可欠です。

労働基準法に基づき、30日以上前に解雇を予告するか、予告しない場合は解雇予告手当を支払わなければなりません。これまでの貢献に感謝を伝え、再就職先の斡旋に協力するなど、従業員の未来を考えた配慮が求められます。

(情報参照元:東京労働局「しっかりマスター労働基準法 解雇編」)

経営者の連帯保証債務を確認する

会社を廃業しても、銀行からの借入金が残れば、連帯保証人である社長個人に返済義務が移ります。

法人の消滅と同時に借金の一括返済を求められるケースも少なくありません。最悪の場合、個人の預金や自宅を処分せざるを得ない事態も想定されます。

廃業を決断する前に、保証契約の内容を確認し、必要に応じて金融機関や専門家と対策を協議しましょう。

残余財産分配時に課税される場合がある

すべての債務を返済し、手元に残った財産(残余財産)を株主へ分配する際、その額が当初出資した資本金を超えると「みなし配当」として課税されます。

みなし配当は、個人の所得として所得税の課税対象となり、総合課税として累進税率が適用される可能性があります。思わぬ高額な税負担が発生するケースもあるため、最終的に個人の手元にいくら残るのか、税理士に試算を依頼しましょう。

(情報参照元:国税庁「No.2505 法人が解散した場合の源泉徴収」)

税務署への申告漏れや記入ミスに留意する

複雑な廃業手続きにおいては、税務署への申告漏れや記入ミスに特に留意しましょう。

廃業手続き中は「解散確定申告」「清算確定申告」での通常とは異なる決算が必要です。事業年度が解散日や残余財産確定日で区切られるため、申告期限も変わります。また、消費税の廃止届出書など、提出すべき書類も多岐にわたるため混乱が生じがちです。

もし申告漏れがあれば、加算税などのペナルティが課され、無駄な出費が増えてしまいます。単に数字を埋めるだけでなく、資産の評価額など専門的な判断が求められる場面も多いのが実情です。自己判断せず、税理士のチェックを受けて正確に申告しましょう。

提出後の書類の控えや決議書は必ず保管する

一連の廃業手続きで提出した書類の控えや決議書は破棄せず保管してください。

清算結了登記が終わっても、すべての責任が消えるわけではありません。会社法では、清算人は決算報告書などの重要書類を、清算結了の登記の日から10年間保管する義務があります。株主総会の議事録、財産目録、官報の切り抜き、領収書などは貸金庫などで厳重に管理してください。

後日、税務調査が入った際や債権者から訴えを起こされた際に、手続きの正当性を証明するためにも使えます。

(情報参照元:裁判所「【会社法】帳簿資料保存者選任申立事件についてのQ&A」)

廃業手続きは自分で進めず専門家に依頼する

専門家の費用を節約するために、経営者自身が本業の傍らで、すべての手続きをミスなく進めるのは現実的ではありません。

前述した通り、法人の廃業手続きは非常に複雑で専門的な知識を要します。法務局への登記や税務署への申告、官報公告など、専門知識がないと対応できない業務が大半です。インターネットなどで得た知識のみで行うと、書類の不備で何度も役所へ通うことにもなりかねません。

時間と労力を節約し、法的なリスクを回避するためにも、司法書士や税理士といった専門家へ依頼しましょう。社長は従業員のケアや取引先への挨拶回りなど、経営者にしかできない仕事に専念すべきです。

法人の廃業を検討する際の相談先一覧

法人の廃業は、税務、法務、金融など多岐にわたる専門知識が必要です。自分一人で抱え込まず、それぞれの分野に精通した専門家へ早めに相談しましょう。

目的に応じた適切な相談先を選ぶことで、円満な廃業や、廃業以外の選択肢が見えてくることもあります。

事業承継の相談相手は誰が良い?専門家の選び方と注意点も解説

顧問税理士

廃業を考え始めたら、最初に相談すべき相手は顧問税理士です。

会社の財務状況をもっとも深く理解しているため、資産と負債のバランスを見極め、廃業(通常清算)が可能か、破産手続きが必要かを判断してくれます。解散確定申告や清算確定申告といった税務手続きも一貫して依頼が可能です。

数字に基づいた客観的なアドバイスをもらうと、冷静な経営判断が下せるので、まずは廃業を検討していることを打ち明け、スケジュールや資金繰りのシミュレーションを作成してもらいましょう。

また、必要に応じて司法書士など他の専門家を紹介してくれるケースも多く、手続きの司令塔としても頼れる存在です。

司法書士

司法書士は廃業手続きにおける登記の専門家です。

解散登記、清算人の選任登記、最後の清算結了登記は、すべて法務局への申請が必要ですが、書類作成は複雑で専門的な知識を要するため、司法書士へ依頼するのが一般的です。

手続き全体のスケジュール管理についてもアドバイスが期待できます。顧問税理士と連携している司法書士を紹介してもらうと、手続き全般がスムーズです。

弁護士

弁護士は債務超過で倒産(破産)の恐れがある場合や、取引先・従業員との深刻なトラブルが予想される場合の相談先です。通常の廃業であれば依頼しなくても問題ありませんが、法的リスクが高い状況では不可欠です。

債権者から厳しい取り立てを受けているケースや、従業員から不当解雇で訴えられる懸念があるケースなどでは、代理人として交渉の矢面に立ってもらえます。経営者の連帯保証問題についても相談が可能です。

商工会・商工会議所

地域の商工会や商工会議所は、中小企業の経営相談に乗ってくれる身近な公的窓口です。

廃業するにあたり何から始めれば良いかわからない場合や、専門家の知り合いがいない場合などに適しています。窓口では経営指導員が無料で相談に応じ、状況に合わせて弁護士や税理士などの専門家を紹介してくれることが一般的です(エキスパートバンク制度など)。

地域の実情に詳しいため、地元の同業者や買い手企業とのマッチングを支援してくれるケースもあります。

金融機関

会社のメインバンクなど、取引のある金融機関も相談先の一つです。

金融機関から借入金がある場合は、廃業を決断する前に相談してください。会社をたたむと同時に残債の一括返済を求められるのが原則ですが、事前に事情を説明すれば柔軟に対応してもらえる可能性もあります。具体的には、返済計画の見直しや、経営者保証ガイドラインを利用した債務整理の協議などが可能です。

無断で廃業手続きを進めると信用を失い、強硬な回収手段を取られる恐れもありますが、誠実に協議を重ねれば、自宅などの生活基盤を残したまま保証債務を整理できる可能性が高まります。

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターは国が設置する公的な相談窓口です。

後継者不在で悩む経営者に対し、事業承継やM&Aに関する情報提供やマッチング支援を無料で実施し、廃業以外の選択肢を示してくれます。民間機関では扱いにくい小規模な案件でも親身に対応し、「後継者人材バンク」を通じて、起業家志望の個人とのマッチングを行っていることも特徴です。

廃業や事業承継を気軽に相談できることがメリットですが、事業承継に際して相手企業との交渉や契約のサポートを受けたい場合は、次項のM&A仲介会社が適しています。

M&A仲介会社

廃業ではなく、第三者への会社売却(M&A)を検討する場合の専門家です。会社や事業を売りたい経営者と買いたい企業を結びつけるプロフェッショナルとして、買い手候補の探索から交渉、契約まで、M&Aの全プロセスをサポートしてくれます。

また、幅広いネットワークを持っているため、公的機関よりもスピーディに買い手が見つかる傾向があります。さらに、廃業を検討する段階で相談すれば、自社にどれくらいの価値(株価)がつくかの算定が可能です。無料相談を実施している会社に依頼してみましょう。

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法人をたたむ廃業手続き以外の選択肢

経営から退く方法は、会社や事業を完全に消滅させる廃業だけではありません。事業再開の可能性を残す「休眠」や、第三者に会社を託す「M&A」といった選択肢もあります。

自社の状況や将来の展望に合わせて、最適な出口戦略を選びましょう。

休眠

休眠とは、会社を解散させずに事業活動だけを一時的に停止する措置です。

将来的に事業を再開する可能性がある場合や、許認可を維持したい場合に活用される手段です。税務署や自治体へ「異動届出書」を提出すれば手続きが完了し、廃業のような登記費用や官報掲載料はかかりません。

ただし、休眠中であっても原則として法人住民税の均等割に対する申告義務が残ります(自治体により減免措置あり)。また、最後の登記から12年が経過すると「みなし解散」と扱われ、職権で解散させられるリスクもあります。

あくまで一時的な処置であり、完全な整理ではない点を理解しておきましょう。

(情報参照元:法務省「休眠会社・休眠一般法人の整理作業について」)

M&A

M&A(企業の合併・買収)とは、株式譲渡や事業譲渡を通じて、会社や事業を第三者へ引き継ぐ方法です。

かつてはネガティブなイメージもありましたが、現在は後継者不在の中小企業が事業を存続するための有効な手段として定着しています。

廃業を選べば手続き費用がかかる上に、資産は目減りする一方ですが、M&Aで売却できれば廃業費用がかからないだけでなく、売却益(創業者利益)を手元に残せます。高い技術力や専門性、特許などを持つ企業の場合、買い手からの需要が高く好条件で譲渡できる可能性があることもメリットです。

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法人の廃業手続きの前にM&Aを検討すべき理由

廃業によって会社の歴史に終止符を打つ前に、M&A(事業承継)を検討すべき理由を解説します。

事業承継型M&Aとは?メリット・デメリット・成功のポイントを解説

事業の基盤が安定する

M&Aで大手企業や資本力のある企業の傘下に入れば、事業の安定性は格段に向上します。

中小企業が陥りがちな資金繰りの不安や人材不足などの課題も、買い手企業の経営資源活用によって解消が可能です。自社よりも経営基盤の安定した企業に事業を引き継ぐことで、資金力やブランド力を活かして事業を成長させられる可能性があります。

自社で長年培ってきた技術やサービスが新たなリソースと融合すれば、より大きな価値を生み出すことも可能です。

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従業員の雇用を守れる

廃業する代わりにM&Aを選択すれば、従業員の雇用を守れます。

廃業すれば従業員は職を失ってしまいますが、M&Aであれば、従業員の雇用契約はそのまま買い手企業へ引き継がれるのが一般的です。従業員は元の給与水準や待遇を維持したまま、新しい親会社のもとで働き続けられ、有資格者や熟練技能者は買い手企業からも歓迎されます。

大切な従業員の生活を守り、彼らが培ってきたスキルを活かせる環境を提供すれば、経営者も安心して引退できます。

取引先との関係を維持できる

事業が継続されることで、長年付き合いのある仕入先や販売先との取引関係も維持できます。

会社を廃業すると、仕入れ先や下請け業者は突然仕事を失い、売上の減少に直面します。場合によっては、自社の廃業が引き金となり、取引先が連鎖倒産するリスクさえあるのです。会社を存続させるM&Aであれば取引先との契約関係も継続されるため、プロジェクト未完や売掛金の未回収といった事態も回避できます。地域の経済やサプライチェーンに与える影響を最小限に抑え、これまで築き上げてきた信用を次世代に引き継げることも、M&Aでの事業承継のメリットです。

個人保証から解放される

経営者が個人保証から解放されることもM&Aのメリットです。

会社の銀行借入に個人保証(連帯保証)を入れていて廃業する場合、会社の資産で借金を完済できなければ、社長個人が私財を投じて返済しなければなりません。結果として、経営者は老後の生活資金まで失う恐れがあります。

しかしM&Aによって会社の株式を譲渡する場合は、経営者が負っていた個人保証や担保を、買い手企業が引き継いでくれることが一般的です。経営者は借金の重圧から完全に解放され、さらに株式の売却益まで手に入るため、リタイア後の人生設計が可能です。

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法人の廃業手続きをする前にM&A事業承継を検討しよう

法人を廃業するには手続きの流れや費用、注意点の正しい理解が不可欠です。ただし、廃業は従業員や取引先にも多大な影響を及ぼすため、あくまで最終手段と考えましょう。

会社をたたむ決断をする前に、会社を譲り渡す選択肢としてM&Aも視野に入れてはいかがでしょうか。M&Aであれば長年育てた事業を存続させ、従業員の雇用を守りながら、経営者自身も経済的に安心して引退できます。

廃業コストを支払うか売却益を得るか、その差は歴然です。まずはM&A仲介会社などの専門家へ相談し、自社の価値を再確認しましょう。

M&Aフォースでは業界に精通した専門チームが、貴社の強みを最大限に引き出すM&A戦略をご提案します。 M&Aに関して、少しでもご興味やご不安がございましたら、まずはお気軽に当社の無料相談をご利用ください。 専門のコンサルタントが、お客様の未来を共に創造するパートナーとして、親身にサポートさせていただきます。

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澤口 良太
監修者

社外取締役(財務)・公認会計士・税理士 澤口 良太

北海道札幌市出身。2003年の学校卒業後、税理士事務所で勤務しながら税理士・公認会計士の資格を取得。KPMGあずさ監査法人を経て、TOMAコンサルタンツや辻・本郷ビジネスコンサルティングでファイナンシャルアドバイザリーサービス(FAS)の責任者を歴任。2020年、独立。澤口公認会計士事務所にて経営やM&Aアドバイザリーを展開している。上場・非上場を問わず企業のオーガニックソースやM&Aによる成長戦略、再生戦略の立案実行をハンズオンにて支援し、多数の実績を有する。2022年のM&Aフォース設立当初から、社外取締役として参画している。

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