M&A基礎知識

会社売却の相談先20選|種類ごとの特徴や選び方を解説

「会社の売却を考えているが何から始めるべきか」「自社の価値をわかってもらうためにはどうする必要があるか」など、会社売却を検討するにあたり、不安や悩みはつきものです。大切に育てた会社を適正に評価し、信頼できる買い手に売却するためには、適切な相談先の選択が重要です。

本記事では、会社売却における各種相談先の特徴と選び方を解説します。正しい相談先を選定し、会社売却に向けた第一歩を踏み出しましょう。

会社売却の相談先の種類

会社売却の相談先は多岐にわたり、各相談先ごとに異なる特徴やメリットがあります。自社の規模や業種、売却目的に応じて最適な相談先を選ぶことが、会社売却成功へとつながります。

会社売却の相談先は以下の通りです。

  • M&A仲介会社
  • 取引先金融機関
  • 地銀
  • 都銀・信託銀行
  • 投資銀行
  • 日本政策金融公庫
  • 金融コンサルタント
  • ファイナンシャルアドバイザー
  • 税理士
  • 弁護士
  • 業界アナリスト
  • 公認会計士
  • 商工会議所
  • 中小企業診断士
  • 同業者
  • M&Aマッチングサイト
  • 事業承継・引継ぎ支援センター
  • 取引先会社
  • 役員・従業員
  • 事業再生専門家

各相談先の特徴と適用範囲について具体的に解説します。

M&A仲介会社

特徴 会社売却に特化したサービスを提供し、豊富な実績とノウハウを持つ
専用相場 中小企業から大企業まで幅広く対応
メリット ・売却プロセス全体をサポート

・手続きの代行が可能

・買い手企業の紹介が豊富

注意点 ・手数料が高額になる場合がある

・仲介会社により得意分野が異なる

M&A仲介会社は、企業売却に特化した専門的なサポートを行う相談先です。売り手と買い手の間に立ち、交渉から成約までワンストップでサポートします。

豊富な買い手企業のネットワークから自社に適した売却先を見つけられる点が大きな魅力です。

企業価値の算定から契約書の作成まで複雑な手続きを代行してもらえるため、経営者は本業に集中できます。一方でデメリットとしては、手数料が高額になる場合があるため、費用対効果を検討する必要があります。

>>M&A仲介会社とは?FAとの違いや選び方・メリットを徹底解説

 

取引先金融機関

特徴 日頃の取引関係を活かした相談が可能で、企業の財務状況を把握している
専用相場 既存取引先企業
メリット ・相談しやすい関係性

・財務状況を理解済み

・信頼関係が構築されている

注意点 ・M&A専門知識が限定的

・買い手企業の紹介が限られる

取引先金融機関は、日常的な取引関係を通じて企業の財務状況を把握しているため、スムーズな相談が期待できます。

既存の信頼関係を活かして相談しやすい環境が整っている一方で、M&A専門知識や買い手企業のネットワークには限りがあります。そのため、初期相談には適していますが、本格的なM&A仲介については、より専門性の高い機関との連携が必要になる場合があります。

金融機関の担当者との関係性を活用して、適切な専門機関の紹介を受けることも有効な選択肢です。

地銀

特徴 地域密着型サービスで、地元企業同士のマッチングが得意
専用相場 地域の中小企業
メリット ・地域の企業情報に詳しい

・地元企業同士のネットワーク

・相談費用が比較的安価

注意点 ・大規模案件への対応が限定的

・全国規模の買い手企業の紹介が困難

地方銀行は、地域経済活性化を目的としたM&A支援を行っており、地元企業同士のマッチングや事業承継支援が強みです。

地域の企業情報に精通しており、地元企業同士のシナジー効果を重視した売却先を提案してくれます。相談費用も比較的安価で利用しやすい点が魅力です。

ただし、大きな案件や全国的な買収企業の斡旋には限界があるため、売却規模や希望する買い手企業の範囲によっては他の相談先も併用を検討する必要があります。

都銀・信託銀行

特徴 大規模案件に対応可能で、幅広いネットワークを持つ
専用相場 大企業・上場企業
メリット ・大規模案件への対応力

・国内外の買い手企業の紹介

・総合的な金融サービス

注意点 ・中小企業案件への対応が限定的

・手数料が高額になる傾向

都市銀行や信託銀行は、大規模なM&A案件に対応できる体制が整っています。国内外の企業ネットワークを活用した買い手企業の紹介が可能で、グローバルな視点で売却戦略を提案できます。

売却後の資金運用や事業再編についても、総合的な金融サービスとの連携でサポートが可能です。

ただし、主に大企業や上場企業を対象としているため、中小企業の案件では十分なサービスを受けられない可能性があります。また、手数料が高額になる傾向があるため費用対効果の検討が重要です。

投資銀行

特徴 大型案件に特化し、高度な金融技術を駆使したサービスを提供
専用相場 大企業・上場企業
メリット ・大型案件への対応力

・高度な企業価値算定

・国際的なネットワーク

注意点 ・中小企業案件は対象外

・手数料が非常に高額

投資銀行は、数十億円規模の大型M&A案件を得意とする相談先です。

高度な金融技術と国際的なネットワークを活用し、複雑な企業価値算定や戦略的な売却スキームの提案が可能です。グローバルな視点による買い手企業の発掘や、クロスボーダーM&Aにも対応できる専門性が魅力です。

一方で、中小企業案件は対象外となることが多く、手数料も非常に高額な傾向があります。大型案件であれば、利用価値が高い相談先です。

日本政策金融公庫

特徴 中小企業の事業承継支援に特化し、公的機関としての信頼性が高い
専用相場 中小企業
メリット ・公的機関としての信頼性

・事業承継支援制度の活用

・相談費用が無料または安価

注意点 ・対応できる案件が限定的

・手続きに時間がかかる場合がある

日本政策金融公庫は、中小企業の事業承継支援を目的とした公的機関です。

事業承継・集約・活性化支援資金などの制度を活用できるため、売却に向けた事業承継資金の調達支援が受けられます。公的機関としての信頼性が高く、相談費用も無料または安価で利用できる点が魅力です。

ただし、対応できる案件が限定的で手続きに時間がかかる場合があります。中小企業の事業承継に特化した相談先として、初期検討段階での活用が有効です。

金融コンサルタント

特徴 金融面におけるアドバイスに特化し、企業価値の最大化を図る
専用相場 中小企業から大企業まで
メリット ・金融面での具体的な助言

・企業価値の最大化サポート

・中立的な立場における助言

注意点 ・買い手企業の紹介は限定的

・実際の売却手続きは他機関に依頼が必要

金融コンサルタントは、企業の財務戦略や資本政策に関する助言を行い、企業売却において最良の戦略設計を行います。

中立的な立場から客観的なアドバイスを提供するため、売却の意思決定過程において有効な相談先です。買い手企業の紹介や実際の売却手続きについては、場合によっては他の専門機関と連携が必要です。

売却戦略の構築段階で特に有効な相談先です。

ファイナンシャルアドバイザー

特徴 売り手側の利益を最大限追及するアドバイスを提供
専用相場 中堅企業から大企業
メリット ・売り手側の利益最大化

・交渉戦略の立案

・買い手企業のリストアップ支援

注意点 ・費用が高額になる場合がある

・実際の売却実行は他機関と連携が必要

ファイナンシャルアドバイザーは、売却企業の利益を最大限に引き出す戦略設計を行います。

交渉戦略を構築したり、買い手企業のリストアップを支援したりと、売却条件の最適化を図ります。売り手の観点に基づいた専門的なコンサルティングを実施するため、有利な条件で売却を実現できる可能性が高まります。

ただし、費用が高額になる場合があり、実際の売却実行については他の機関との連携が必要になるケースがあります。金融コンサルタント同様に、売却を戦略的に組み立てる際に役立つ相談先です。

税理士

特徴 税務面でのアドバイスに特化し、売却時の税負担を最適化
専用相場 中小企業
メリット ・税務面での詳細なアドバイス

・売却時の税負担最適化

・既存の信頼関係を活用

注意点 ・M&A全体の手続きは対応範囲外

・買い手企業の紹介は困難

税理士は、会社売却に伴う税務処理について詳細なアドバイスが可能です。

譲渡所得税の計算や節税対策の提案を行い、売却時の税負担を最適化します。また、既存の顧問税理士との信頼関係を活かして相談できる点が魅力です。

一方で、M&A全体の手続きや買い手企業の紹介については対応範囲外です。売却の税務面での検討や、売却後の税務上の処理で重要なポジションを占める相談先と捉えましょう。他の専門機関と連携し、包括的な売却サポートを受けられます。

弁護士

特徴 法務面でのリスク管理と契約書作成を担当
専用相場 全規模の企業
メリット ・法務面でのリスク管理

・契約書の作成・チェック

・紛争発生時の対応

注意点 ・買い手企業の紹介は困難

・M&A全体のコーディネートは範囲外

弁護士は、会社売却における法的リスクの管理と契約書の作成を担当します。

デューデリジェンスや契約交渉における法的側面をサポートし、売却に伴う法的リスクを最小化します。また、企業規模に関わらず対応可能であり、万一のトラブル発生時の対応も期待できます。

ただし、買い手企業の紹介やM&A全体のコーディネートについては対応範囲外です。法的リスクの管理や契約書の適正性確保において重要な役割を果たす相談先です。

業界アナリスト

特徴 業界動向を踏まえた企業価値の算定と売却戦略の立案
専用相場 特定業界の企業
メリット ・業界動向を踏まえた価値算定

・市場環境を考慮した売却戦略

・業界内のネットワーク活用

注意点 ・実際の売却手続きは対応範囲外

・特定業界以外は対応困難

業界アナリストは、特定業界の動向を踏まえた企業価値を算定します。

市場環境を考慮した最適な売却タイミングの提案が可能で、業界内ネットワークを活用した買い手候補の発掘も期待できます。業界特有の価値評価基準や市場動向を熟知しているため、適正な企業価値が算定可能です。

ただし、実際の売却手続きは対応範囲外となり、特定業界以外については対応が困難です。業界トレンドを重視した売却戦略の立案においては非常に有効な相談先です。

公認会計士

特徴 財務面でのデューデリジェンスと企業価値算定を担当
専用相場 中小企業から大企業まで
メリット ・財務面でのデューデリジェンス

・企業価値の客観的算定

・財務諸表の適正性確認

注意点 ・買い手企業の紹介は困難

・M&A全体のコーディネートは範囲外

公認会計士は、企業の財務状況を詳細に分析し適正な企業価値を算定します。

買い手企業による財務デューデリジェンスへの対応もサポートし、財務諸表の適正性を確認します。企業規模に関わらず対応可能で、客観的な財務分析に基づいた企業価値の算定が期待できます。

ただし、買い手企業の紹介やM&A全体のコーディネートについては提供サービスの範囲外です。財務面での正確な評価や適正性確保において重要な役割を果たします。

商工会議所

特徴 地域の中小企業支援に特化し、事業承継の相談窓口を提供
専用相場 地域の中小企業
メリット ・無料相談が可能

・地域企業とのネットワーク

・事業承継支援制度の活用

注意点 ・大規模案件への対応が困難

・M&A仲介機能は限定的

商工会議所は、地域の中小企業を対象とした事業承継支援を行っています。無料相談や各種支援制度の紹介を受けられるため、初期相談に適した相談先です。

地域企業とのネットワークを活用した情報収集や、事業承継支援制度の活用についてもアドバイスを受けられます。

しかし、大規模案件への対応は困難で、M&A仲介機能は限定的です。地域の中小企業における事業承継の初期準備段階における活用が有効です。

中小企業診断士

特徴 経営改善と事業承継の両面からアドバイスを提供
専用相場 中小企業
メリット ・経営改善アドバイス

・事業承継計画の策定

・公的支援制度の活用支援

注意点 ・買い手企業の紹介は困難

・実際の売却手続きは対応範囲外

中小企業診断士は、経営改善と事業承継の両面からアドバイスを提供します。

売却前の企業価値向上策に対する提案も行い、より有利な条件での売却を実現するためのサポートが可能です。事業承継に向けた計画立案や行政支援策の利用についても、専門的なアドバイスを受けられます。

一方、買い手企業の紹介や実際の売却手続きについては対応範囲外です。売却準備段階における企業価値向上や事業承継計画の策定においての相談先としては有効です。

同業者

特徴 業界事情に詳しく、シナジー効果の高い売却が期待できる
専用相場 同業他社
メリット ・業界事情への理解

・シナジー効果の期待

・従業員の雇用維持

注意点 ・競合他社への情報漏洩リスク

・適正価格での取引が困難な場合がある

同業者への相談は、業界事情を熟知した相手との取引が可能です。

事業のシナジー効果が期待でき、社員の雇用維持や事業の継続性確保につながりやすい点が魅力です。業界特有の価値や将来性を適切に評価してもらえる場合が多い一方で、競合他社への情報漏洩リスクには十分な注意が必要です。

また、買い手側の立場が強い場合は適正価格での取引が困難になることもあります。相談前に業界内での信頼関係を確認し、機密情報の適切な管理を約束してもらうことが重要です。

M&Aマッチングサイト

特徴 オンラインプラットフォームを活用した効率的なマッチング
専用相場 中小企業
メリット ・低コストでの利用

・多数の買い手候補

・24時間いつでも利用可能

注意点 ・サポート体制が限定的

・情報の確証が得られない

M&Aマッチングサイトは、オンラインプラットフォームを活用して売り手と買い手をマッチングします。比較的低コストで利用でき、多数の買い手候補に情報を提供できる点が魅力です。

また、24時間いつでも利用可能で効率的なマッチングが期待できます。

ただし、サポート体制が限定的で情報の真偽確認が困難といったデメリットもあるため、初期段階での買い手候補の発掘や市場動向の把握において有効な相談先です。

事業継承・引継ぎ支援センター

特徴 国が設置する公的機関で、事業承継に関する総合的な支援を提供
専用相場 中小企業
メリット ・無料相談が可能

・公的機関としての信頼性

・各種支援制度の活用

注意点 ・対応できる案件が限定的

・手続きに時間がかかる場合がある

事業承継・引き継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継を支援する公的機関です。無料相談や後継者マッチング支援を受けられ、公的機関としての信頼性が高い点が魅力です。

各種支援制度の活用についても詳細なアドバイスを受けられますが、一方で対応できる案件が限定的で手続きに時間がかかる場合があります。中小企業の事業承継における初期検討段階での活用が有効です。

取引先会社

特徴 既存の取引関係を活かした円滑な売却が期待できる
専用相場 既存取引先
メリット ・既存の信頼関係

・事業継続の確実性

・従業員の雇用維持

注意点 ・情報漏洩リスク

・関係悪化の可能性

取引先会社への売却は、信頼関係を活かした円滑な取引が期待できます。事業の継続性や社員の雇用維持につながりやすく、既存の取引関係を基盤とした売却条件の設定が可能です。売却後の事業運営も安定しやすい特徴があります。

ただし、話し合いがうまく進まなかった場合の関係悪化や今後の取引には注意が必要です。

従来の取引関係を尊重した売却を検討する時に有益な選択肢です。

役員・従業員

特徴 経営陣や従業員による会社の買い取り(MBO・EBO)
専用相場 自社の役員・従業員
メリット ・企業文化の継承

・従業員の雇用維持

・事業の継続性確保

注意点 ・内部の対立を招く可能性が有る

・専門的なアドバイスは期待できない

役員や従業員による買い取りは、企業文化の継承と社員の雇用維持を実現できます。

また、事業の継続性確保や経営の安定性維持において大きなメリットがあります。既存の経営陣や従業員が事業を引き継ぐため、売却後の事業運営もスムーズに進行しやすいです。

一方で、売却の情報により社員間での対立や混乱を招く恐れがあるため、情報開示に気をつけましょう。企業文化の継承を重視する場合に非常に有効な選択肢です。

事業再生専門家

特徴 経営困難な企業の立て直しと売却支援に特化した専門家
専用相場 経営難の中小企業から中堅企業
メリット ・企業価値向上策の提案

・債務整理との併用が可能

・困難な状況でも売却実現

注意点 ・健全な企業には不要

・手続きが複雑になる場合がある

事業再生専門家は、経営が困難な状況にある企業の立て直しと売却を支援する専門家です。債務超過や資金繰りが悪化した企業でも、事業価値を最大化してから売却する戦略を提案できます。

民事再生や事業譲渡といった法的手続きと組み合わせた売却も可能で、通常では売却困難な企業でも買い手を見つけられる場合があります。ただし、健全な企業には必要なく、手続きが複雑化する可能性もあります。

会社売却の相談先の選び方

会社売却の相談を行う際は、会社の大きさや業界特性、売却の狙いに応じて、相談先の見極めが非常に重要です。効率的かつ有利な条件で売却を目指すなら相談先選びは慎重に行いましょう。

相談先の選定時に重視したいポイントは以下の4つです。

  • 成約実績が豊富にあるか
  • サポート体制が充実しているか
  • 予算に見合った費用体系になっているか
  • 情報漏洩の対策が十分に取られているか

具体的に解説します。

成約実績が豊富にあるか

相談先の成約実績は、提供するサービスの品質と信頼性を判断する重要な指標です。

過去の成約事例や成約率を確認し、自社と同規模・同業種での実績があるかを重視しましょう。成約実績が豊富な相談先は、M&Aにおけるノウハウと経験を蓄積しています。

また、単純な成約件数だけでなく、売却価格の妥当性や売却後の事業継続状況も確認が重要です。成約実績の詳細を公開している相談先は、透明性が高く信頼できます。

特に、自社の業界や規模に近い案件での成約実績を注視すると、より適切なサービスの選定が可能です。実績の豊富さは、売却成功の確率向上に直結する要素として選定時には重視しましょう。

サポート体制が充実しているか

会社売却は複雑なプロセスを伴うため、相談先のサポート体制を確認しましょう。相談から成約まで一貫したサポートを提供しているか、担当者の経験と専門知識は十分かを確認します。

特に、企業価値算定や買い手企業の選定に加え、交渉サポートや契約書作成などの各段階で適切なサポートを受けられるかどうかは重要なポイントです。

また、売却後のアフターサポートも含め、長期的なパートナーシップを築ける相談先を選ぶことが望ましいです。担当者の変更頻度や連絡体制についても事前に確認し、安定したサポートを受けられる環境を確保しましょう。

専門チームによる分業体制が整っている相談先は、より質の高いサービスを提供できる傾向があります。

予算に見合った費用体系になっている

相談先の費用体系は、売却の収益性に直接影響します。着手金、中間金、成功報酬などの費用構造を詳しく確認し、自社の予算と売却価格の見込みに見合った費用体系かどうかを判断しましょう。

成功報酬型の場合、成約価格に応じた報酬率の設定が適切かどうかも重要なポイントです。

また、追加費用が発生する可能性についても事前に確認し、総費用の正確な把握が大切です。複数の相談先から見積もりを取得し、コストパフォーマンスを比較検討をおすすめします。

費用の内訳が明確で、事前に全体のコストを把握できる相談先を選ぶことで、予算管理をしながら売却を進められます。

情報漏洩の対策が十分に取られているか

会社売却に関する情報は機密性が高く、情報漏洩は企業価値の低下や売却条件の悪化につながる可能性があります。

相談先の情報管理体制、守秘義務契約の内容、情報漏洩事例の有無を確認しましょう。特に、社員や取引先への情報開示タイミングの管理や、買い手候補企業への段階的な情報提供が重要です。

また、デジタル情報の管理システムやアクセス権限の設定など、技術的な情報保護対策についても確認が必要です。情報セキュリティの認証取得状況や社内研修の実施状況からも、信頼性を判断しましょう。

情報管理に関する明確なルールと実績を持つ相談先を選ぶことで、安心して売却を進められます。

会社売却の相談時に準備しておくこと

会社売却の相談を効果的に進めるためには、事前の準備が欠かせません。

適切な準備により、相談先との初回面談から具体的な議論を開始でき、売却プロセス全体の効率化を図れます。

相談前には以下の4つを準備しておきましょう。

  • 売却目的の明確化
  • 必要書類の準備
  • 自社の訴求ポイントの把握
  • 会社売却の流れの把握

具体的に解説します。

売却目的の明確化

会社売却の目的の明確化は、適切な相談先の選定や効果的な売却戦略の立案において欠かせません。

目的が曖昧な状態では、適切な判断を下すことが困難です。会社を売却する目的には、以下の理由が挙げられます。

  • 事業承継
  • 資金調達
  • 事業再編
  • 経営者の引退

企業によって売却目的は様々であり、自社に有利な提案を行ってもらうためには目的にあった相談先を選ぶことが重要です。

また、売却後の事業継続方針、社員の雇用維持、企業文化の継承など、売却において重視する条件も整理しておきましょう。売却時の条件は、買い手企業の選定や交渉において重要な判断材料です。

売却目的の明確化により、一貫した戦略のもとで売却プロセスを進められます。

必要書類の準備

会社売却の検討には、多くの書類が必要です。

  • 財務諸表
  • 税務申告書
  • 登記簿謄本
  • 株主名簿
  • 組織図
  • 事業計画書

上記の基本的な書類は、企業価値の算定や買い手企業への情報提供で使用されるため、準備しましょう。また、以下の書類に関しても、いつでも提出できるよう整理しておくと安心です。

  • 主要な契約書
  • 許認可関連書類
  • 知的財産権関連書類

書類の準備状況により、相談先からの初期評価の精度が向上し、売却プロセスの効率化を図れます。

特に、過去3年分の決算書類や税務関連書類は必須であり、事前に整理しておくことで相談がスムーズに進行します。

書類の不備は売却プロセスの遅延につながる可能性があるため、漏れのないよう 内容に準備を整えておきましょう。

自社の訴求ポイントの把握

自社の強みや訴求ポイントを客観的に把握することは、効果的な売却戦略の策定に必要です。

技術力、市場シェア、顧客基盤、人材、ブランド力など、自社の競争優位性を整理しましょう。売却会社の強みは、買い手企業にとってのシナジー効果を生み出し、売却価格の向上につながります。

また、業界内での自社のポジションや将来性についても分析し、買い手企業に対する魅力的な提案材料を準備しておきましょう。

客観的な市場データや業界分析資料も併せて準備できれば、説得力のある提案が可能です。自社の強みを明確に伝えれば、適切な評価を受けやすくなり、有利な売却条件の実現につながります。

会社売却の流れの把握

会社売却の一般的な流れを理解すれば、相談先との打ち合わせをスムーズに進められます。

  1. 初期検討
  2. 企業価値算定
  3. 買い手企業の選定
  4. 交渉
  5. 基本合意
  6. デューデリジェンス
  7. 最終契約
  8. クロージング

各段階での所要期間や必要な作業についても理解しておくことが重要です。

また、売却プロセスにおける経営者の役割や判断ポイントについても事前に理解し、適切なタイミングでの意思決定を行えるよう準備しましょう

プロセス全体の理解により、計画的な売却活動を展開できます。売却完了までの期間は通常6カ月から1年程度を要するため、長期的な視点での準備が必要です。流れを把握していれば、各段階での準備を効率的に進められます。

会社売却の相談ならM&A仲介会社がおすすめ

会社売却のM&Aは、事業承継や資金調達など経営者の重要な選択肢の1つです。しかし、自社にとって最適な相談先はどこなのか、売却準備の進め方はどうすれば良いのかと戸惑う方も多いのが現状です。

会社売却の相談ならM&A仲介会社がおすすめです。

M&A仲介会社では、豊富な買い手企業とのネットワークを活用し、企業価値の最大化から契約締結まで一貫したサポートを提供します。

M&A仲介会社に売却相談をして効率的で成功確率の高い売却を実現しましょう。

澤口 良太
監修者

社外取締役(財務)・公認会計士・税理士 澤口 良太

北海道札幌市出身。2003年の学校卒業後、税理士事務所で勤務しながら税理士・公認会計士の資格を取得。KPMGあずさ監査法人を経て、TOMAコンサルタンツや辻・本郷ビジネスコンサルティングでファイナンシャルアドバイザリーサービス(FAS)の責任者を歴任。2020年、独立。澤口公認会計士事務所にて経営やM&Aアドバイザリーを展開している。上場・非上場を問わず企業のオーガニックソースやM&Aによる成長戦略、再生戦略の立案実行をハンズオンにて支援し、多数の実績を有する。2022年のM&Aフォース設立当初から、社外取締役として参画している。

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